◎バイデン政権は以前、ATACMSの供与を否定していたが、CNNは政府高官の話しとして、「ここ数週間で供与が決まった」と伝えている。
2022年12月21日/ワシントンD.C.ホワイトハウス前、バイデン大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(Patrick Semansky/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は17日、米国から供与された長射程の地対地ミサイル「ATACMS」を初めて使用したと明らかにした。

米CNNによると、バイデン政権はウクライナにATACMSを秘密裏に引き渡したとされる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルもウクライナ軍が17日にロシア軍に対し、初めてATACMSを使用したと報じた。

ウクライナ軍参謀本部は17日、ロシア軍の占領下にあるウクライナ東部と南部の飛行場を攻撃し、ヘリコプターや防空ミサイル発射装置などを破壊したと発表。ATACMSを使ったかどうかには言及していない。

それによると、ロシア軍はこの攻撃で防空システムや多くの兵器・装備品を失ったという。

また同参謀本部は「この攻撃でロシア兵数十人が死傷した」と述べた。

ゼレンスキー氏は定例のビデオ演説でATACMSに言及。「それは非常に正確に機能し、標的を撃ち抜いた」と述べた。

ロシア国防省は飛行場空爆に関する声明を出していない。

バイデン政権は以前、ATACMSの供与を否定していたが、CNNは政府高官の話しとして、「ここ数週間で供与が決まった」と伝えている。

それによると、米国はATACMSでロシア領内を攻撃しないことを条件に、供与を決めたという。

AP通信は政府高官の話を引用し、「ウクライナに供与されたATACMSはクラスター爆弾を搭載し、射程は通常の最大300キロから160キロに変更された」と伝えている。

APによると、このATACMSはクラスター搭載型に改造され、数百の小型爆弾を空中で放出し、標的を破壊するという。

それ本体にも弾頭が搭載されているものとみられるが、詳細は明らかになっていない。

ウクライナ国防省は17日、ロシア軍が東部ドネツク州アウディーウカに対する攻撃を継続し、過去24時間で10回攻撃を行ったと発表した。

ロシア軍は東部で攻勢を強めているものとみられる。

英国防省は17日、ロシア軍による東部ドネツク州アウディーウカへの攻撃について、侵攻速度は遅く、かなりの犠牲者を出している可能性が高いと報告。米シンクタンク戦争研究所も同様の見解を示し、「ロシア軍の攻撃速度はこの数日で減速し、厳重に要塞化されたウクライナ軍の防壁を突破できずにいる」とした。

一方、ロシアのウォロジン(Vyacheslav Volodin)下院議長は17日、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回すると宣言。連邦議会に撤回動議を提出する見通しだ。

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