◎エルドアン氏は開戦以来初めて、グテレス氏は2度目のウクライナ訪問となった。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は18日、西部リビウでトルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領とグテレス(Antonio Guterres)国連事務総長と会談し、戦争を終結させるための取り組みについて協議した。
しかし、現地メディアによると、前向きな話はほとんど出ず、進展も見られなかったという。
エルドアン氏は開戦以来初めて、グテレス氏は2度目のウクライナ訪問となった。
エルドアン氏は共同記者会見で、「協議内容の大半がロシアの合意を必要とすることから、プーチン(Vladimir Putin)大統領と改めて協議する必要がある」と述べた。
多くの専門家がウクライナ産穀物の輸出再開に大きく尽力したトルコと国連首脳の訪問に期待を寄せ、何かしらの打開策が示されるかもしれないという噂も広がっていた。
3首脳は大惨事を引き起こす可能性があるザポリージャ原発の取り扱いなどについても協議した。同原発を含む南部ザポリージャ州の一部は親ロシア勢力の支配下に置かれている。
エルドアン氏は会見の中で、「数万人が死亡し、1000万人以上のウクライナ人が故郷を追われたこの戦争を終わらせるための外交努力を放棄してはならない」と国際社会に呼びかけた。
またエルドアン氏は仲介役を務める意思があると改めて表明し、「交渉が戦争を終結させると確信している」と強調した。
トルコは3月のイスタンブール交渉を主催したが、ロシアの攻撃を抑えることはできなかった。
一方、戦場ではロシア軍のミサイル攻撃と砲撃が相次ぎ、東部ハルキウの住宅地で民間人少なくとも17人が死亡、数十人が負傷したと報じられている。
ロシア国防省は18日、ハルキウ州の外国人傭兵基地を攻撃し、90人を殺害したと主張した。
ロシア国内でも動きがみられた。
ロシア南西部ベルゴロド州政府は、郊外の弾薬庫で火災が発生したと報告した。ウクライナ軍はこの事故に関する声明を発表していない。
ロシア国防省は別の声明で、「クリミア半島の港近くにある飛行場付近でドローンを撃墜した」と報告したが、ウクライナ軍の攻撃とは明言していない。クリミア半島では先週と今週、大規模な爆発が報告されている。
ロシア国営メディアは18日、ロシア軍がNATO加盟国のリトアニアとポーランドに囲まれた飛び地「カリーニングラード州」に最新鋭の極超音速ミサイルを搭載した戦闘機を配備したと報じた。
カリーニングラード州には核弾頭を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデル(Iskander)」などがすでに配備されている。
ゼレンスキー氏は共同記者会見で、ロシアのザポリージャ原発占領を「核の脅迫」と改めて非難し、ロシア軍の撤退と国際原子力機関(IAEA)の査察を要請した。
グテレス氏は同原発周辺を非武装地帯にするよう求め、ザポリージャ州への攻撃を「自殺行為」と呼んだ。
エルドアン氏も同原発周辺の戦闘に懸念を示し、「チェルノブイリのような事態は避けたい」と述べた。
ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー氏とグテレス氏は原発にIAEA査察チームを送る手順で合意したという。しかし、ロシアがその条件に合意するかどうかは不明である。
ウクライナはロシア軍が撤退しない限り、査察は認めないとしている。ウクライナ軍とロシア軍は18日、原発周辺への攻撃を非難し合った。
一方、グテレス氏はドネツク州の捕虜収容所とされる施設で先月発生した火災について、国連の現地調査団の団長を任命したと発表した。この火災ではウクライナ人捕虜53人が死亡したと報告されている。