◎ロシアはドイツが主力戦車「レオパルト2」、米国が世界最強と名高い戦車「エイブラムス」の供与を決めたことに強く反発している。
2023年1月26日/ウクライナ、首都キーウ郊外、ロシア軍のミサイル攻撃で破壊された民家(Roman Hrytsyna/AP通信)

ウクライナ大統領府は26日、ロシア軍が首都キーウを含む複数の地域にミサイルを撃ち込み、民間人少なくとも11人が死亡、11人が負傷したと発表した。米独の戦車供与表明に対抗する攻撃とみられる。

ウクライナ公共放送などによると、キーウのエネルギーインフラや住宅地が大きな被害を受けたという。

南部オデーサ州政府も電力設備2カ所が攻撃を受けたと報告した。

ロシアはドイツが主力戦車「レオパルト2」、米国が世界最強と名高い戦車「エイブラムス」の供与を決めたことに強く反発している。

ウクライナ軍参謀本部は26日、ロシア軍が直近24時間でミサイルを55発発射し、そのうち47発を撃墜。20発はキーウを狙ったものだったと報告した。

ウクライナ空軍は別の声明で、南部アゾフ海から飛び立ったイラン製自爆ドローンの一団を撃墜したと明らかにした。撃墜した数は不明。

AP通信などによると、キーウ南部の住宅地にミサイルが着弾し、55歳の男性が死亡、2人が負傷したという。

ウクライナ最大の民間電力事業者DTEKは一連のインフラ攻撃で電力網に負荷がかかったため、一部地域で緊急停電を実施したと発表した。

キーウ中心部の電力供給は維持されている。ミサイル攻撃を受けた郊外の発電所には国営電力会社の作業員が集まり、被害状況の確認と復旧作業を開始した。

ロシアの怒りを引き起こした欧米の戦車供与は戦況に「違いをもたらす」と期待されている。

ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は25日、ウクライナにレオパルト2を14両供与し、それを保有する欧州各国の供与も認めると約束した。

レオパルトは3月下旬から4月上旬にかけてウクライナに輸送される予定だ。ドイツはウクライナ兵向けの操作訓練を速やかに開始するとしている。

ドイツの発表後、バイデン(Joe Biden)米大統領はエイブラムス31両をウクライナに送ると発表した。国防総省はエイブラムスの管理に費用がかかりすぎることなどを理由に供与は難しいと指摘していた。

カナダも今後数週間のうちに即運用可能なレオパルド4両とウクライナ兵に操作方法をレクチャーする専門家を送ると発表した。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は26日、ビデオ演説で、12カ国による「戦車連合」が形成されたと述べ、供与を決断した同盟国に改めて謝意を示した。

ゼレンスキー氏は「戦況をひっくり返すためには300~400両の戦車が必要だ」と指摘。同盟国にさらなる供与を「迅速」に行うよう求めた。

NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は26日に放送された英BBCのインタビューで、「戦車は違いをもたらす」という見方を示した。

またストルテンベルグ氏は「ロシアは新たな攻撃を計画している」と警告した。ウクライナ当局はこの警告とほぼ同じタイミングで、ロシア軍のミサイル攻撃が確認されたと報告し始めた。

東部ドネツク州のウクライナ知事によると、要衝バフムートと周辺地域では激戦が続いているという。

米財務省は26日、ドネツク州の前線にロシアの受刑者を送り込んでいる民間軍事会社ワグネルを国際犯罪組織に指定した。

イエレン(Janet Yellen)財務長官は声明で、「プーチン(Vladimir] Putin)大統領の戦争マシンの戦闘および武装を阻止するために、同グループとその関係者に新たな制裁を科す」と述べている。

2023年1月26日/ウクライナ、首都キーウの発電所、ロシア軍の攻撃で破壊された設備をチェックする作業員(Daniel Cole)/AP通信)
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