◎ゼレンスキー大統領「EUはロシアが侵攻する前に新たな制裁を科す必要がある」
2021年12月15日/ブリュッセルのEU本部、左からウクライナのゼレンスキー大統領、マクロン仏大統領、ショルツ独首相(Johanna Geron/Pool/AP通信)

12月15日、ウクライナと独仏の首脳がブリュッセルのEU本部で会談し、ウクライナ東部で進行中の問題について協議した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は会談後の記者会見で、EUはロシアが侵攻する前に新たな制裁を科す必要があると強調した。

ゼレンスキー大統領は記者団に、「ウクライナは緊張を緩和するための交渉に応じるが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今のところ交渉のテーブルに着く気はないようだ」と述べた。

EU27カ国の指導者たちは16日のEU首脳サミットでロシアの侵攻を防ぐ最善の方法について検討する。AP通信などによると、27カ国は「ウクライナに対するさらなる軍事侵攻は、多大な結果と深刻なコストをもたらす」という文言を共同宣言に盛り込む予定だという。

ゼレンスキー大統領は「侵攻前に制裁を科すことが重要」と強調した。「戦争発生後に制裁を科してもロシアは止まりません...」

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

ウクライナと分離主義者は2015年の協定ミンスクⅡで停戦に合意したが、国境付近では小規模な衝突が続いている。ロシアはウクライナ東部に兵士を90,000人以上派遣し、東部地域へのNATO軍の展開禁止と、ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証を米国に求めている。

ゼレンスキー大統領はエマニュエル・マクロン仏大統領やオラフ・ショルツ独首相などとロシアの侵攻に対応する5つの選択肢について協議したと述べたが、詳細は明らかにしなかった。

EUを統括する欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は14日の声明で、ロシアが侵攻した場合、EUは新たな制裁を科すと述べ、プーチン大統領をけん制した。フォン・デア・ライエン委員長は「ロシアに深刻な結果をもたらす前例のない制裁を科す」と述べたが、詳細は不明。

一方、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は記者に「ゼレンスキー大統領の要請にどのように応じるか?」と問われ、「追加の制裁を科す準備を進めている」とだけ答えた。

米国とEUは調整を進めていると伝えられているが、制裁の詳細は明らかにされていない。一部のEU加盟国は侵攻前に制裁を科すべきと主張しているが、フランスやドイツなどは制裁が侵攻の引き金になる可能性があると懸念を表明している。

フランスとドイツはドンバス戦争の和平協定交渉時に採用した「ノルマンディー・フォーマット閣僚会合」で問題に対処すると述べているが、ロシアがテーブルに着くかどうかは不明である。

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