◎他の欧州諸国と同様、世界経済を牽引してきたイギリスも苦境に立たされている。
イギリス、ロンドンの地下鉄(Getty Images)

イギリスのハント(Jeremy Hunt)財務相は13日、同国の財政難を解消するためには歳出を抑え、税収を増やす必要があると警告した。

ハント氏はBBCニュースのインタビューでイギリスの財政を「ブラックホール」と呼び、増税は避けられないという見方を示した。

またハント氏は財務省を「スクルージ(大金持ちだがケチの意)」と呼び、「インフレを抑制し、イギリス経済を安定させるために、非常に難しい決断を迫られた」と語った。

ハント氏は財政を引き締め、クワーテング(Kwasi Kwarteng)前財務相とトラス(Liz Truss)前首相がもたらしたダメージから立ち直るためには最大600億ポンド(約10兆円)の歳入が必要という見方を示した。

BBCによると、トラス政権は国民保険税と不動産取引にかかる印紙税の未納分削減で200億ポンド、さらに金利上昇と国債発行で最大100億ドルの損失を計上したという。

ロシアのウクライナ侵攻により、イギリスの食料とエネルギーコストも大幅に増加し、消費者物価指数(CPI)は40年ぶりの高水準に達した。

他の欧州諸国と同様、世界経済を牽引してきたイギリスも苦境に立たされている。

11日に公表された公式統計によると、イギリス経済はこの3カ月、縮小を続け、今後何ヶ月もマイナス成長が続く見通しだという。

国内総生産は7月から9月の間に年率換算で0.2%マイナスとなり、長い不況の始まりを告げるかのようであった。

イングランド銀行(中銀)は今月初め、この30年で最大の利上げを実施し、高止まりしているインフレを抑えにかかった。(主要政策金利0.75%増の3%)

ハント氏は電気とガス代の支払いを支援するという前任者の公約を守ると約束したが、公的機関への支援は削減される可能性があると強調した。

またハント氏は楽しいクリスマスを迎えるために全力を尽くすと誓った。「私はクリスマスを守るスクルージです」

2022年10月2日/イギリス、トラス首相(右)とクワーテング財務相(Stefan Rousseau/PAメディア)
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