◎食品価格は前年同月比で16.4%増。1977年9月以来の水準となった。
ロンドンの食料品店(Getty Images)

イギリス国家統計局(ONS)は16日、先月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で11.1%増となり、41年ぶりの高水準に達したと発表した。

政府は17日に新しい税制・歳出計画を公表する予定だ。

ONSによると、10月のCPIは11.1%増となり、9月の10.1%を上回った。エコノミストは10.7%と予想していた。

イギリスを含む多くの欧州諸国が食品と燃料価格の高騰に悩まされている。

国内ではインフレに抗議するデモや賃上げストが続き、医療や教育部門への財政出動を求める声が高まっている。

就任からわずか2カ月で辞任したトラス(Liz Truss)前首相の経済政策は投資家の信頼を損ない、ポンド売りを招き、金融市場に嵐を巻き起こした。トラス政権は減税を含む450億ポンド(約7兆3700億円)の景気刺激策の費用を国債で賄おうとした。

ハント(Jeremy Hunt)財務相は16日、CPI発表後の声明で、「このインフレ率で持続可能な成長は望めない」と述べ、市民生活を保護しながら債務を減らす税制計画を実行すると語った。

イングランド銀行(中銀)を含む多くの中央銀行がインフレを抑えるために主要政策金利を引き上げている。

イングランド銀行は今月初め、同国のインフレ率は第4四半期でピークを迎え、来年初めには下がり始めると予想した。また同行は8回連続となる利上げを行い、金利を3%まで押し上げた。

ハント氏は、「政府は健全な計画でイングランド銀行のインフレコントロールを助けなければならない」と述べ、トラス氏を暗に批判した。

トラス氏は銀行がブレーキ(利上げ)を踏む中でアクセル(国債発行)を踏もうとした。

米国の10月のCPIは7.7%増となり、9月の8.2%から減速した。

しかし、イギリスのインフレ率はまだピークに達していないようにみえる。

ONSによると、食品価格は前年同月比で16.4%増。1977年9月以来の水準となった。

電気とガス代は24%増。政府はエネルギー危機から消費者を守るために両価格に上限を設定している。

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