◎フィンランドの大統領と首相は今週、NATO加盟を支持すると発表した。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は13日、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は「好ましくない」と述べ、加盟審査の中で拒否権を行使する可能性があると示唆した。
エルドアン大統領は記者団に対し、「我々はフィンランドとスウェーデンに関する動きを注視しているが、好ましいとは思っていない」と語った。
またエルドアン大統領は、スウェーデンや他の北欧諸国がトルコでテロリストと見なされているクルド人武装勢力をかくまっていると非難した。
ロシアのウクライナ侵攻は、軍事活動における中立を堅持してきたフィンランドとスウェーデンに再考を促した。2月24日の開戦以来、両国の世論はNATO加盟に傾いた。
エルドアン大統領は、ギリシャのNATO復帰(1980年)に同意したときの「過ち」を繰り返したくないと主張した。「NATOの後ろ盾を得たギリシャはトルコを威嚇するようになりました...」
エルドアン大統領は両国の加盟を拒否するとは明言しなかった。しかし、加盟にはトルコを含む加盟30カ国の合意が必要であり、1カ国でも拒否すれば実現しない。
プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナの非軍事化と非ナチ化、そしてNATOの東欧拡大を阻止するために侵攻したと主張している。
フィンランドの大統領と首相は今週、NATO加盟を支持すると発表した。議会は速やかにこの方針を承認すると思われる。
一方、ホワイトハウスによると、バイデン(Joe Biden)大統領は13日にスウェーデンのアンデション(Magdalena Andersson)首相とフィンランドのニーニスト(Sauli Niinisto)大統領と電話会談を行ったという。
フィンランド大統領府は、「3首脳はウクライナ侵攻の深刻な懸念を共有した」と声明を発表した。
AP通信は米国務省高官のコメントを引用し、「ブリンケン国務長官は今週末のNATO会合に先立ち、エルドアン大統領の発言とトルコの立場を明確にするよう求めるだろう」と報じている。
スウェーデンのアンデション首相率いる社会民主党は、15日に方針を示す予定と伝えられている。
フィンランド外相は13日の記者会見でエルドアン大統領の発言について質問を受け、「ある程度の忍耐が必要だ」と語った。「ローマは一日にしてならず。ひとつずつ問題を解決していこう」
NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長はフィンランドとスウェーデンが加盟を正式に申請すれば「両手を広げて歓迎する」と述べている。
AP通信によると、加盟30カ国が加盟議定書を批准するまでには半年ほどかかるが、「加盟手続きは2週間ほどで完了する」という。
一方、スウェーデン政府の報告書によると、ロシアは国境を接していないスウェーデンのNATO加盟にも否定的な反応を示し、いくつかの対抗策を打ち出すだろうとしている。
スウェーデンの安全保障政策部門はアンデション内閣がNATO加盟を目指すか否かを決める材料のひとつとして、この報告書を13日に議会に提出した。
報告書はNATO加盟がスウェーデンにとって多くの利点、とりわけ30カ国からなる強力な軍事同盟がスウェーデンに集団安全保障をもたらすと指摘している。
同時にロシアのサイバー攻撃、領空侵犯、核兵器使用など、ロシア軍が取りそうな戦術を列挙している。