◎ロシア軍はクリミア半島への攻撃を「自国領に対する脅威」「(地方政府の)存亡の危機」とみなす可能性がある。
2022年8月9日/ウクライナ、南部クリミア半島のロシア軍基地近くのビーチ(UGC/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は9日、2014年にロシアに併合されたクリミア半島を奪還すると誓い、「この戦争はクリミアの戦いで終わる」という認識を示した。

ロシア当局は同日、クリミア半島西部の空軍基地で弾薬が爆発し、少なくとも1人が死亡、複数が負傷したと発表した。基地に対する攻撃はなかったとみられる。

ゼレンスキー氏は9日に公開したビデオ演説でこの爆発には触れず、「クリミアはウクライナ領であり、我々はそこを決して手放さない」と国民に約束した。

またゼレンスキー氏は「戦争はクリミアで始まり、クリミアで終わる」と述べ、ロシアに奪われた地域をすべて奪還すると誓った。

ロシアはクリミア基地の爆発の原因を調査中としている。ウクライナ大統領府は関与を否定した。

クリミア半島は公式にはウクライナの領土だが、2014年のクリミア侵攻でロシア軍と親ロシア勢力に占領され、住民投票の末、ロシアに併合された。

クリミア半島西部のノボフェドロフカ近くにある空軍基地で発生した大爆発はロシア人観光客に人気のビーチでも視認できた。

ソーシャルメディアには爆発の瞬間を捉えた写真や、ビーチの観光客が逃げ出す映像が共有されている。目撃者によると、少なくとも12回爆発音が聞こえたという。

クリミアの親ロシア政府は少なくとも1人が死亡、8人が負傷したと報告した。

ロシア国防省は弾薬が爆発したと発表しているが、事実かどうかは不明である。

ウクライナ大統領府の補佐官は地元メディアのインタビューで、ウクライナ軍の関与を否定した。

ロシア軍はクリミアへの攻撃を「自国領に対する脅威」「(地方政府の)存亡の危機」とみなす可能性がある。ロシアのメドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領は、「クリミアを攻撃すれば審判の日がやってくる」と警告していた。

ゼレンスキー氏は9日の演説でこの爆発には言及しなかったが、クリミア半島奪還への想いを語った。「ロシアのウクライナに対する戦争はクリミア占領から始まったことを忘れないでください...」

「このロシアの戦争はクリミアで始まり、クリミアで終わらせなければなりません」

ゼレンスキー氏は今回、「戦争が終わる前にクリミア半島を奪還する」という以前の考えに変わりはないと表明した。しかし、以前、この問題で異なる発言をしたこともある。

ゼレンスキー氏はロシアとの交渉が始まった初期の段階で、ロシア軍が自国に戻れば、ウクライナは和平を受け入れると示唆し、クリミア奪還は必須ではないという見方を示していた。

クリミアを占領した親ロシア勢力は2014年、ロシア編入の是非を問う住民投票を実施。その後、ロシアは2014年3月にクリミアを併合した。

クリミアでは数カ月に及ぶ親欧州派の抗議デモが行われ、当時のヤヌコーヴィチ(Viktor Fedorovych Yanukovych)政権の崩壊で混乱はピークに達した。親ロシア派のヤヌコーヴィチ氏はロシアに亡命している。

ロシアは今年2月24日、クリミア半島を足がかりにウクライナ領内に侵攻した。

ウクライナ軍は先月末、南部ヘルソン州のロシア軍主要補給路「アントニフスキー橋」を破壊したと報告。この橋はクリミア半島とヘルソン州を結び、この地域のロシア軍の補給路になっていた。

2022年8月9日/ウクライナ、南部ミコライフ州の避難所(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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