◎チュニジア東部沖の海岸とランペドゥーサ島は150kmほどしか離れておらず、沿岸の町スファックスにはサヘル地域の紛争地などから逃れた移民が押し寄せている。
2023年9月14日/イタリア、ランペドゥーサ島の港近く、北アフリカの移民(Cecilia Fabiano/LaPresse/AP通信)

イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相は15日、同国最南端のランペドゥーサ島にアフリカの移民が大量流入していることを受け、海上封鎖を含む新たな対移民政策を導入する必要があると表明した。

地元メディアによると、ランペドゥーサ島には今週、北アフリカ・チュニジアを出港した移民船100隻以上が上陸。その数はわずか1日で6000人に達したという。

イタリア首相府はメローニ氏のビデオ声明をSNSに投稿。EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長をランペドゥーサ島に招き、その目で島の現状を確認してもらい、EU・チュニジア間で新たな移民協定を結ぶ必要があると訴えた。

またメローニ氏は「アフリカにおける内戦、紛争、インフレ、気候危機といった一連の要因に対処するため、EUは政策を根本的に見直すべき」と強調した。「これを怠れば、何百万もの移民が命を懸けて欧州を目指す事態に発展しかねません...」

チュニジア東部沖の海岸とランペドゥーサ島は150kmほどしか離れておらず、沿岸の町スファックスにはサヘル地域の紛争地などから逃れた移民が押し寄せている。

メローニ氏は今回の大量流入について、「歓迎することはできず、速やかに手を打つ必要がある」と訴えた。

チュニジア・イタリアルートを使う移民が急増した背景には、トルコ・ギリシャの地中海ルートやバルカンルート(陸路)の国境警備強化がある。

ランペドゥーサ島は今週、北アフリカのリビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織の標的になった。移民たちは組織に1人あたり数千ドルを支払い、頼りないゴムボートや木造船に乗り込むのである。

イタリア赤十字社によると、ランペドゥーサ島沖で14日に約700人の新たな移民が保護されたという。さらに15日には移民船数十隻の存在が確認され、約2500人が保護される見通しである。

赤十字社の事務所は15日朝の時点で移民3800人を受け入れたとしている。

EUとチュニジアは経済援助と引き換えに人身売買を阻止する協定を結んでいるものの、このような大量流入が起きている。

メローニ氏はこの協定を持続可能かつ効果的なものにするために、EUの資金をチュニジアに送り、協調して国境・海上警備を強化する必要があると述べた。

イタリア内務省の統計によると、今年ボートでイタリアに渡った移民は14日時点で12万6000人近くに達し、昨年同時期のほぼ2倍に急増したという。

この傾向が続けば、9月末までに約13万2000人が流入した2016年(シリア難民危機)の記録を更新する可能性がある。

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