◎スイスの憲法は国民に強い発言権を与えており、国民投票で様々な問題を処理している。
スイスの国旗(Getty Images)

スイス放送協会(SRF)は25日、女性の定年を64歳から65歳に引き上げる計画の是非を問う国民投票は僅差で承認されたと報じた。

スイスの憲法は国民に強い発言権を与えており、国民投票で様々な問題を処理している。

SRFによると、家畜の屠殺を制限する動物保護規則は反対が大多数を占めたという。

政府は国民投票の結果を受け、女性の定年を65歳に引き上げる。65歳まで働いた労働者には退職金が満額支給される。

国会はこの法案をすでに可決しており、年金制度の資金を補充する付加価値税の引き上げも合わせて実施される予定だ。

政府報道官によると、国内の退職者数は新規就業者を上回るペースで増加している。

団塊の世代の退職が進み、特に女性が長生きするようになったため、年金制度を維持する措置が必要と考えられていた。

定年引上げに反対する団体は、「男性より給与が少ない女性の生活がより一層苦しくなり、不平等や不公正を際立たせることになる」と指摘している。

SRFによると、この計画は▽賛成50.6%▽反対49.4%で承認された。ドイツ語圏の州は特に支持が高く、フランス語圏とイタリア語圏の州は過半数が反対に投じた。

一方、家畜の保護を求める環境保護団体が提案した計画は却下された。

連邦議会もこの計画に反対し、実行すれば食品の価格高騰を招くと警告していた。また、スイスはすでに家畜を十分保護していると主張した。

スイスは昨年、約8000万頭の家畜を肥育・屠殺した。専門家によると、屠殺数は一世代前に比べると50%近く増加しているという。

最新の世論調査では回答者の大多数がこの計画を支持していたが、畜産業界の懸念が世論に伝わり、却下されることとなった。畜産業界は食肉のさらなる価格高騰を招くと警告していた。

SRFによると、この計画は▽賛成37%▽反対63%で却下された。

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