◎中道右派の野党4党はNATO加盟を支持している。
スウェーデン政府は11日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、安全保障政策を見直すと発表した。
与党社会民主党はNATO加盟に否定的な見方を示してきたが、ウクライナ侵攻で方針を改めざるを得なくなった。
ロシアと国境を接するフィンランドも再考を余儀なくされ、英タイムズ紙は11日、両国が今夏にもNATOに加盟する見通しと報じた。
社会民主党は11日の声明で、「ロシアの侵攻でスウェーデンの安全保障政策は根本的に変わった」と述べている。
地元メディアは社会民主党党首の発言を引用し、「見直しは夏前に完了するだろう」と報じた。
フィンランドは今後数週間のうちに安全保障政策と加盟申請に関する情報を公表する予定である。
一方、ロシア政府は両国の方針転換に素早く反応し、「スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟するという可能性は、欧州に安定をもたらさないだろう」とけん制した。
ペスコフ報道官はオンライン会見で記者からスウェーデンとフィンランドのNATO加盟の可能性について尋ねられ、「NATOは対立の原因であり、その拡大が欧州に安定をもたらすことはないと繰り返し述べてきた」と説明した。
米国務省は先週、ブリュッセルで行われたNATO外相会議の中で、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟について協議したと明らかにしていた。両国の外相も会議に参加している。
社会民主党は昨年11月の新政権発足時にNATOに加盟しないという安全保障政策を再確認しているため、その姿勢が最大のハードルになると見られている。
ヨーテボリ大学の政治学教授であるエシアソン氏はSNSに、「社会民主党が加盟のカギを握っている」と投稿した。
中道右派の野党4党はNATO加盟を支持している。第5党の党首もフィンランドが加盟するのであれば、自分の党も加盟を支持すると述べている。
左派とかつて社会民主党の連立政権に参加していた緑の党は加盟に反対している。
社会民主党は11日の声明で、「安全保障政策の見直しはNATOに加盟するか否かの議論以上のものであり、安全保障政策のあらゆる側面についてNATO加盟国に意見を述べる機会を提供することを目的としている」と述べた。
またアンデション首相と党指導部は、「見直しの過程で安全保障政策の速やかな見直しが必要と判断された場合、スウェーデンはNATO加盟国の支持なしにNATOへの加盟申請を決定する」とも述べている。
1930年代から約40年間、途切れることなく政権を担ってきた社会民主党の政策転換は歴史的な出来事であり、NATO加盟への道を切り開くかもしれない。
この問題は9月11日に予定されている議会選挙でも最大の関心ごとになると予想されている。
世論調査によると、ウクライナ侵攻以来、NATO加盟への支持はほぼ倍増し、スウェーデンでは約50%、フィンランドでは約60%に跳ね上がった。
スウェーデンの最大野党である穏健党は9月の選挙で第一党になった場合、加盟を申請する意向を表明している。
極右のスウェーデン民主党(第三党)も反対から賛成に方針転換した。