◎M痘(エムポックス)は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。
スウェーデン政府は15日、アフリカ中央部・コンゴ民主共和国で最初に確認されたM痘(エムポックス)の変異株に感染した患者を国内で確認したと明らかにした。
保健省は声明で、「この患者は最近、ストックホルムで治療を受けた」と述べた。
M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴで初めて検出された。
重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。
死亡率は地域の医療体制によって異なるが、概ね1~10%ほど。潜伏期間は7~21日で、ほとんどの患者が10~14日で発症する。
保健省によると、この患者はコンゴに滞在したことがあり、帰国後、変異株に感染していることに気づいたという。
保健省の疫学者であるギスレン(Magnus Gisslen)氏は記者会見で、「この患者は治療を受け、現在、他者との接触を避けている」と語った。
それによると、この患者は回復段階にあり、命に別条もないという。
その後、クリステション政権の閣僚を含む数人の政治家がSNSで変異株に言及。「これはコロナウイルスのように空気感染せず、専門家もそのリスクは非常に低いと推定している」と強調した。
公共放送スウェーデン・テレビ(SVT)は専門家の話しとして、「M痘を含むこのような感染症は海外で感染したり、持ち込まれる可能性があるものであり、パニックを起こす必要はない」と報じた。
世界保健機関(WHO)は今年初め、死亡率の高いM痘変異株がコンゴの一部地域で確認されたと報告した。地元当局によると、その死亡率は10%に達する可能性があるという。
WHOは14日、コンゴを含むアフリカ中央部と西部でM痘感染者が急増していることを受け、公衆衛生上の緊急事態を宣言した。
アフリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、今年M痘患者が確認された国は13カ国。全患者と死者の96%以上がコンゴで報告されている。感染者は1万4000人超、死者は524人となっている。