◎制裁発動には加盟27カ国の同意が必要。
2022年2月7日/セルビア、首都ベオグラード、記者団の取材に応じるハンガリー外相(Darko Vojinovic/AP通信)

スロバキアとハンガリー政府は3日、EUが準備しているロシア産エネルギーに対する追加制裁を支持しないと表明した。

EUを統括する欧州委員会は、ロシア産原油の輸入を段階的に減らす措置を含む新たな制裁を起草している。加盟27カ国は4日からその協議を開始する予定。

制裁発動には27カ国の同意が必要である。

EUのボレル外交安全保障上級代表は、「石油禁輸に取り組みたい」とツイートしている。ハンガリーとスロバキアを対象外とするかどうか不明。

スロバキアの経済相は3日、「国内唯一の製油所はロシア産をすぐ他国産に切り替えることはできない」と記者団に語った。「よって、スロバキアは免除を主張します」

スロバキアはソ連時代のパイプラインを通じて供給されるロシアの原油にほぼ依存している。

ハンガリーもロシアに大きく依存している。

ハンガリーの外相は3日の会見で、「我が国への天然ガスや原油輸送を遮断する制裁には賛成しない」と表明した。「ハンガリーの国民に戦争の代償を支払わせることはできません...」

ハンガリーは国内で消費する天然ガスの85%、石油の60%以上をロシアから輸入している。

新たなエネルギー制裁についてEU加盟国の意見は分かれているが、欧州理事会のミシェル議長はロシア産天然ガスと原油から卒業することで「ロシアの戦争マシンを壊す」と約束している。

EUはロシアに代わる供給源の確保を急いでおり、アルジェリア、カタール、米国などの主要生産国からLNGを輸入する方針である。

ミシェル議長とバルカン半島の首脳は3日、ギリシャ北部で建設中のLNG基地を視察した。

ギリシャのアレクサンドルポリス港近くで建設されているLNG基地は来年操業を開始する予定である。

タンカーで輸送するLNGの重要性はますます高まっている。

ロシア国営ガスプロム社は先週、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止すると発表した。両国はガスのルーブル建てを拒否している。

ミシェル議長は記者団に、「この新しいLNG基地は非常に重要である」と語った。「基地が完成すれば、ギリシャ、ブルガリア、北マケドニア、セルビア、その他の同盟国に多くのLNGを供給できるようになります...」

首脳会談を行ったブルガリア首相、北マケドニア首相、セルビア大統領、ギリシャのミツォタキス首相は基地の視察にも参加した。

ブルガリアのペトコフ首相は、「この基地は単なるエネルギープロジェクトではない。欧州のエネルギー地図を変えるだろう」と語った。

このLNG基地は年間約60億㎥の天然ガスを処理するよう設計されている。2020年に運用を開始したアゼルバイジャンとイタリアを結ぶアドリア海横断パイプラインもバルカン半島の天然ガス供給を支えている。

ギリシャとブルガリア結ぶ「ギリシャ・ブルガリア連絡パイプライン」は来月運用を開始する予定である。

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