◎ポピュリストのフィツォ首相は来月中頃までに刑法を改正し、特別検察庁を廃止したうえで、その権限を地方検察庁に移管するとしている。
2023年12月8日/スロバキア、チャプトバ大統領(Petr David Josek/AP通信)

スロバキアチャプトバ(Zuzana Caputova)大統領は8日、重大犯罪を扱う特別検察庁を廃止し、その権限を地方検察庁に移管するというフィツォ政権の法案に拒否権を行使すると表明した。

大統領が法案への署名を拒否しても、国会は単純多数決でそれを覆すことができる。

10月末に就任したポピュリストのフィツォ(Robert Fico)首相は来月中頃までに刑法を改正し、特別検察庁を廃止したうえで、その権限を地方検察庁に移管するとしている。

チャプトバ氏は8日のテレビ演説で、「閣議決定された法案は法の支配に反するものだと思う」と述べ、EUの執行機関である欧州委員会も議論が尽くされずに刑法改正が進められていることに懸念を示していると指摘した。

フィツォ氏の3党連立政権は国会で過半数を占めている。

地元の政治アナリストは「拒否権を行使しても国会で覆されるため、時間稼ぎにしかならない」と指摘している。

一部の地元メディアは関係者の話しとして、「チャプトバ氏は憲法裁判所に異議を申し立てる可能性も検討している」と報じた。

フィツォ氏の左派政党スメルは9月末の議会選で第1党に躍進。ロシアと戦うウクライナへの軍事支援を打ち切ると公約に掲げ、政権に返り咲いた。

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