◎欧州でロシア便を維持している航空会社はトルコの数社とエアセルビア社のみである。
2019年12月10日/セルビア、首都ベオグラードの政府庁舎、アレクサンダル・ヴチッチ大統領(Getty Images/AFP通信)

セルビアのナショナリストであるアレクサンダル・ヴチッチ大統領は12日、EUからロシア・ウクライナ戦争で利益を得ているという厳しい批判を受け、モスクワ行きの便を1日1便に戻すと発表した。

半国営のエアセルビア社はロシアのウクライナ侵攻が始まるとモスクワ発着の便を2倍に増やし、座席予約の問い合わせが殺到すると大型旅客機を導入した。

欧州でロシア便を維持している航空会社はトルコの数社とエアセルビア社のみである。セルビアはEUとウクライナから厳しく批判されている。

ウクライナの外務副大臣は先日、「セルビアはウクライナの血で金儲けしている」とツイートし、多くのいいねを集めた。「セルビアはEUの候補国にふさわしくありません」

ヴチッチ大統領は12日に放送された国営メディアのインタビューの中でEUとウクライナの批判を「魔女狩り」と呼び、モスクワ便を1日1便に戻すと明らかにした。

ヴチッチ大統領は、「私たちを批判している人々はモスクワ便を減らせば満足してくれますかね?」と冗談半分に言った。

またヴチッチ大統領は、トルコの航空会社がロシア便を維持していることについて、「彼らはセルビアの30倍もの便を運航しているNATO加盟国には触れないだろう」と不満を口にした。

ヴチッチ大統領はいつから減便するかは明言しなかった。AP通信によると、13日のエアセルビア社のモスクワ便は2便予定されていた。

セルビアはEU加盟を望んでいるにもかかわらず、同盟国であるロシアに対する国際的な制裁導入に否定的な立場を示してきた。

EU当局はセルビアに対し、「加盟を希望するのであれば、EUの外交政策に沿う必要がある」と繰り返し警告していた。

セルビアの国営メディアはロシアメディアが報じている戦争プロパガンダを繰り返し放送し、国内の超国家主義者や極右グループに親プーチンムードを作り出すよう促している。

セルビアのEU加盟審査は環境問題と隣国コソボとの関係が足かせになり、思うように進んでいない。

セルビアの州のひとつだったコソボは1998年のコソボ紛争でセルビアと衝突し、2008年2月に独立を勝ち取った。ほとんどの西側諸国はコソボの独立を認めているが、セルビアとその同盟国であるロシアと中国は認めていない。

2022年3月13日/セルビア、首都ベオグラードで開催された親ロシア集会(Darko Vojinovic/AP通信)
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