◎ユーロプライドは欧州各国で持ちまわり開催されており、今年はベオグラードで行われる予定。
セルビア、LGBTQプライドパレード(Getty Images)

セルビアブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は27日、首都ベオグラード来月行われる欧州最大の同性愛者の祭典「ユーロプライド」の開催を許可しないと発表した。

セルビアのLGBTQ+(性的少数者)は極右や過激派の標的にされることが多い。今月初めにはロシアのウクライナ侵攻を支持する数千人がLGBTQ+(性的少数者)のプライドパレードや集会に反対するデモ行進を行っている。

ブチッチ氏はこの決定に満足していないが、セルビアはコソボ問題を含む複数の問題に対処しなければならず、時間を無駄にする余裕はないと主張した。

ユーロプライドは欧州各国で持ちまわり開催されており、今年はベオグラードで行われる予定(9.12~18)だった。第1回は1992年にロンドンで開催された。

パレードの主催者はSNSに声明を投稿。ブチッチ氏を非難し、禁止されても実施すると誓った。

ブチッチ氏は記者会見の中で、コソボとの最近の緊張や食料・燃料価格の高騰などに対処する必要があると述べ、「パレードは延期または中止される」とした。

またブチッチ氏はコソボ当局を非難し、「この無駄な緊張がパレードを禁止に追いやった」と主張した。

ユーロプライドの主催者ミハイロビッチ(Marko Mihailovic)氏は27日、この言い訳を却下し、「ユーロプライドを中止することはできず、禁止は違憲である」と主張した。

ユーロプライドの運営を取りまとめる協会「European Pride Organisers」もキャンセルできないと主張している。

同協会は、セルビア初の女性首相であり同性愛を公表しているブルナビッチ(Ana Brnabic)氏がパレードを全面支援すると約束したため、その約束が守られると確信しているとした。

一方、ベオグラードで今月初めに行われた反LGBTQ集会には数千人が参加し、「家族を守れ」「子供に近づくな」「ロシアに勝利を」などと書かれた看板を掲げて行進した。

ブチッチ氏はこの集会を非難し、セルビア正教会も「あのような恐ろしいデモに参加した全ての者を呪う」と異例の声明を発表した。

ミハイロビッチ氏は、「ユーロプライドのホスト国を務めることは、西バルカンにおけるLGBTQ+コミュニティの平等達成に向けた重要な一歩になる」と述べた。

ベオグラードで2010年に行われたプライドパレードでは反LGBTQ団体と参加者が殴り合う事件に発展、数人が負傷した。

2022年4月15日/セルビア、首都ベオグラード、ロシアを応援する集会(Darko Vojinovic/AP通信)
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