◎ロシア軍はエネルギーインフラを継続的に攻撃しており、ウクライナ全土の数百万人が厳しい寒さの中、暖房を使えずにいる。
2022年11月27日/ウクライナ、南部ヘルソン州、ドニエプル川に架かるアントニフスキー橋(Bernat Armangue/AP通信)

ウクライナのコスチン(Andriy Kostin)検事総長は27日、ロシア軍によるエネルギーインフラへの攻撃は「ジェノサイド(大量虐殺)」に等しいと非難し、国際社会にさらなる支援を呼びかけた。

コスチン氏は英BBCニュースのインタビューで、「ロシア軍はウクライナ国民を標的にしており、インフラ攻撃は政府に降伏を促す非道な作戦のひとつ」と語った。

1948年に採択された国連の「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」はジェノサイドを
▽集団構成員を殺すこと
▽集団構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること
▽集団構成員の全部もしくは一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を故意に課すこと
▽集団における出生を防止することを意図する措置を課すこと
▽集団の児童を他の集団に強制的に移すこと
と定義している。

ロシア軍はエネルギーインフラを継続的に攻撃しており、ウクライナ全土の数百万人が厳しい寒さの中、暖房を使えずにいる。

国営電力会社ウクルエネルゴ社は24時間体制で発電所や送電設備などの復旧作業に当たっている。南部ヘルソン市の停電と断水は復旧したと伝えられている。

しかし、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領によると、首都キーウと14の地域の広い範囲で停電が続いているという。

コスチン氏はウクライナの児童少なくとも1万1000人がロシアに強制送還されたと明らかにし、インフラ攻撃以外のジェノサイドも確認されていると非難した。

またコスチン氏はロシア軍による戦争犯罪を4万9000件以上確認し、全土で捜査を進めていると説明した。

ロシア軍は一時的に占領した地域で似たような戦争犯罪(処刑、拷問、レイプなど)を行っているようだ。

1886年に発効したジュネーズ条約をはじめとする国際条約は戦争のルールを定め、特に民間人への攻撃を厳しく禁じている。ロシアはこのルールを破ったと非難されている。

中部ドニプロペトロウシク州政府は27日、住宅地が攻撃を受け、民間人少なくとも1人が死亡、13人が負傷した報告した。

南部ヘルソン市当局は27日、ロシア軍が今月初めに撤退して以来、民間人少なくとも32人が殺害されたと明らかにした。

ウクライナは26日、300万人以上が死亡したとされる「ホロドモール(スターリン飢饉)」から90年を迎えた。

コスチン氏によると、2月24日の侵攻開始以来、戦争犯罪で260人が起訴され、13の評決が下されたという。その大半が拘束されたロシア兵である。

コスチン氏はプーチン政権の責任を追及する「国際法廷」の創設を呼びかけた。

一方、ウクルエネルゴ社は27日、ロシア軍が南部ザポリージャ原発から撤退する準備を進めている可能性があると報告した。

ザポリージャ原発は3月に占領され、何度も外部電源を喪失している。6基の原子炉はすべて停止しているが、核燃料と使用済み燃料を冷却するためには外部電源が必要である。

ウクルエネルゴ社はテレグラムに声明を投稿し、「撤退の兆候が見られるが、ロシア軍はまだそこにとどまっている」と注意を促した。

2022年11月27日/ウクライナ、南部ヘルソン市の住宅地(Andriy Andriyenko/AP通信)
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