◎ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は声明で、「ロシア西部で活動していた兵士に常設基地に帰還するよう命じたが、今年後半に予定している別の演習に向け、当該地に兵器の一部を残しておく」と述べた。
4月22日、ロシアの国防省はウクライナ東部国境付近に配備した多くの部隊に撤退を命じた。
セルゲイ・ショイグ国防相は声明で、「ロシア西部で活動していた兵士に常設基地に帰還するよう命じたが、今年後半に予定している別の演習に向け、当該地に兵器の一部を残しておく」と述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国境沿いに配備されたロシア軍の撤退を歓迎した。
現地メディアによると、クリミア半島とロシア西部の演習を見学したショイグ国防相は、兵士たちに基地に帰還するよう命じたという。「今回の演習の目的は達成できたと思います。ロシア軍は演習を通して自国の領土と関係国の民主的な市民を守る能力を確認しました」
ショイグ国防相は5月1日までに撤退を終える予定と述べたが、別の大規模な軍事演習を今年の後半に予定しているため、西部に強力な重火器の一部を保管するよう命じた。現地メディアによると、兵器はウクライナとの国境から160kmほど東に位置するヴォロネジ州の演習場に移送されたという。
ロシアはウクライナ東部国境付近の兵力を著しく増強し、分離主義者(ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国)とウクライナとの間で発生したドンバス戦争における停戦協定「ミンスクⅡ」を脅かしていた。アメリカ、NATO、そしてウクライナ政府はロシアに撤退を求めたが、ウラジーミル・プーチン大統領は自国の領土内で訓練を行っているだけと主張し、要求を却下した。
ロシアは2014年にクリミアを併合し、その後、「クリミア共和国(自称)」とドンバス地域の「ドネツク人民共和国(自称)」「ルガンスク人民共和国(自称)」の独立を承認したが、国連と国際社会はこれを認めておらず、分離主義者と認識している。なお、ドンバス地域はウクライナの領土である。
The reduction of troops on our border proportionally reduces tension. 🇺🇦 is always vigilant, yet welcomes any steps to decrease the military presence & deescalate the situation in Donbas. Ukraine seeks peace. Grateful to international partners for their support #StrongerTogether
— Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) April 22, 2021
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシア軍の撤退を歓迎した
ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、ヨーロッパの指導者たちと東部国境付近のNATO軍の兵力を増強する可能性について協議した。NATOによると、国境周辺に配備されたロシア軍の兵士は10万人を超えていたという。
ロシアのショイグ国防相の発表を受け、NATOは声明で、「エスカレーションを回避することが重要であり、ロシア軍の動きは遅すぎる」と述べた。「NATO軍は警戒態勢を維持します」
NATOの指導者たちは、クリミアおよびドンバス地域におけるロシアの動きを主要議題とする首脳会談を6月に開催するよう呼びかけている。
ロシアは今回の軍事演習は「NATOの脅迫的行動に対応するもの」と主張しており、伝えられるところによると、黒海の封鎖を検討している可能性もあるという。黒海の封鎖はウクライナの港の封鎖を意味する。
プーチン大統領は4月21日の国民演説の中で、西側諸国に「レッドライン」を超えれば必ず後悔すると警告していた。
軍の撤退発表後、プーチン大統領は記者団に対し、「ウクライナの大統領をモスクワに招く用意はできている」と述べた。しかし、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ東部の問題について話し合いたいのであれば、ロシアがウクライナに足を運ぶべきだと強調した。
ウクライナ東部におけるNATO軍の訓練は先月始まり、6月まで続く予定。