◎ロシアは提案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲に兵器を配備しないこと」や、「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」などを要求している。
2021年9月11日/ロシア西部の軍事施設、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習(Vadim Savitskiy/Russian Defense Ministry Press Service/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

12月17日、ロシアはウクライナ東部で進行中の問題を解決する提案の詳細を明らかにした。

ロシアは提案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲に兵器を配備しないこと」や、「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」などを要求している。

またロシアは「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」を米国とNATOに求めたが、この要求はすでに拒否されている。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は17日の会見で、ウクライナや他の関係諸国もロシアとの安全保障交渉に参加する必要があると強調した。

米国の国家安全保障問題を担当するジェイク・サリバン大統領補佐官は17日、「米国は過去20年、ロシアと欧州の安全保障問題について協議してきた」と述べた。「交渉は行き詰まることもありましたが、米国は常に対話の準備をしています...」

一方、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は17日の定例会見で、「米国が単独でロシアと交渉することはないだろう」と述べ、交渉はあくまでNATOが主導すべきと示唆した。

米国の諜報機関などによると、ウクライナ東部に集まったロシア軍の兵士は最大100,000人にのぼる可能性があるという。ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナへの侵攻を否定しているが、NATOが提案を拒否すれば最悪の事態もあり得ると示唆している。

ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は17日、ロシアと米国の関係は「危険なポイント」に近づいていると警告し、「NATO軍はロシアに圧力をかけるために領土近くで軍事演習を行い、地域の安全保障に深刻な影響を与えている」と非難した。「ロシアは米国との緊急協議を求めています...」

またリャブコフ外務副大臣は米国とNATOに2つの条約草案を提出した明らかにした。「ロシアと西側の信頼関係は完全に崩壊しており、他の選択肢はありませんでした...」

ロシアは草案の中で、NATOに加盟した旧ソ連邦構成国がロシアへの脅威と見なされる地域に軍や兵器を配備しないことを要求した。これを認めると、NATOはロシアと国境を接するバルト海諸国やポーランドに兵を派遣できなくなり、さらにジョージアとウクライナのNATO加盟も諦めなければならない。

米国の諜報機関は、プーチン大統領が2022年初頭にウクライナに侵攻する計画を立てていると判断したが、サリバン大統領補佐官は「米国が先に進むかどうかはまだ分からない」と述べた。ジョー・バイデン大統領は先日の簡単な会見で、「ロシアが仮に侵攻したとしても、米軍を展開することはない」と述べ、西側の同盟国を困惑させた。

ロシアは時計の針を1997年5月27日(草案第4条)に戻したいと考えているが、NATOが提案に応じる可能性はゼロに等しい。

ポーランド、ハンガリー、チェコ共和国は1999年にNATOに加盟し、2004年にはブルガリア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、旧ソ連構成国のエストニア、ラトビア、リトアニアがそれに続いた。その後、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニアも加盟し、NATO加盟国は30カ国になった。

カーネギー・モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長はツイッターに、「ロシアは草案が受け入れられる可能性は低いと承知したうえで、あえて草案を公表した」と投稿した。「ロシアの提案は非常に厳しい内容になっています。これは、ロシアが地域の安全保障を確立するためには武力行使が必要不可欠と認めたことを意味します...」

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

またロシアはジョージアの分離主義者(南オセチア国とアブハジア国)の活動も支援し、紛争を誘発したうえで、ジョージアを3分割した。

2021年6月16日/スイス、ジュネーブのヴィラ・ラ・グランジ、アメリカ代表団とロシア代表団(ミハイル・メッツェル/AP通信/Pool)
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