◎ロシア政府によると、爆撃機の派遣は同盟国の防衛能力を強化するためのもので、「第三国を狙ったものではない」という。
2021年11月10日/ロシア空軍のTu-22M3戦略爆撃機(Russian Defense Ministry Press Service/AP通信)

11月11日、ロシア政府はポーランドとベラルーシの国境付近で進行中の難民危機を受け、同盟国ベラルーシに核弾頭を搭載できるTu-22M3戦略爆撃機2機を派遣した。

ベラルーシの国防省は11日、「ロシアの核対応爆撃機はポーランドとの国境から約60kmの地点に位置するルザニー訓練場付近でベラルーシ軍の合同訓練に参加した」と述べた。

AP通信によると、ロシア空軍は10日にも同じ爆撃機をベラルーシに派遣し、合同訓練を行ったという。

ベラルーシの国防省は、「ロシアの核対応爆撃機とベラルーシ空軍の戦闘機は侵略者を迎撃する訓練を行った」と述べ、同様の訓練を定期的に実施すると明らかにした。

ロシア政府によると、爆撃機の派遣は同盟国の防衛能力を強化するためのもので、「第三国を狙ったものではない」という。

しかし、ロシアの国連大使であるドミトリー・ポリアンスキー氏はニューヨークの国連本部で、「派遣はポーランドとベラルーシの国境危機に対応するもの」と語った。

ポーランド、リトアニア、ラトビアはここ数カ月、ベラルーシからの入国を試みる移民希望者の急増に悩まされてきた。移民は主にアフリカ、イラク、シリア、アフガニスタンの難民で構成されている。

独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選以来、多くのベラルーシ亡命者を受け入れてきたポーランドとリトアニアを敵視しており、移民をEUに大量に送り込むことで混乱を引き起こそうとしている。EUは大統領選後の民間人に対する暴力と今年5月の民間旅客機強制着陸事件を受け、ベラルーシに制裁を科した。

EUは「ベラルーシは意図的に移民を送りこんでいる」と主張しているが、ルカシェンコ大統領はこの主張を却下し、「EUは移民希望者の庇護を求める権利を保障しなければならない」と反発している。

一方、ロシアは旧ソ連のベラルーシを支援する数少ない国家のひとつであり、EUはウラジーミル・プーチン大統領の出方を伺いながらベラルーシに圧力をかけている。

ポリアンスキー国連大使はロシアとベラルーシの関係を強調したうえで、「ベラルーシの国境付近にポーランド軍が集結した場合、私たちは対応しなければならない」と警告した。

ポーランド政府は9日、国境付近に3,000~4,000人の移民希望者が押し寄せたことを受け、軍の兵士12,000人を国境付近に追加配備した。ベラルーシ政府はこの動きを「前例のない軍事力増強」と呼び、難民危機は兵士の追加配備を正当化しないと反発した。

ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は11日の記者会見で、「国境付近におけるポーランドの軍事力増強は深刻な懸念を引き起こしている」と述べ、ポーランド政府をけん制した。

ルカシェンコ大統領は11日、ロシアの爆撃機を称賛し、緊張を引き起こしたのはポーランド政府と強調した。「敵国は悲鳴を上げています。それは核弾頭を搭載できる爆撃機です。他に選択肢はありません...」

ロシア国防省の対外協力部門に務めていたレオニード・アイバショフ元大佐はインテルファクス通信社の取材に対し、「爆撃機の派遣はベラルーシに対するロシアの支援を強く印象付けた」と語った。「ポーランドの軍事力増強は大規模な戦争に発展する可能性があり、ロシアは衝突の回避に向けた取り組みと戦う準備はできていることを同時に示す必要があります...」

2021年11月9日/ベラルーシとポーランドの国境付近に閉じ込められた移民希望者たち(Leonid Shcheglov/BelTA/AP通信)
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