◎ロシアの国家通信監視機関は投獄された野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏の関係者が開発したアプリを削除するようアップルとグーグルに命じた。
2021年2月20日/ロシア、首都モスクワのバブスキンスキー地方裁判所、アレクセイ・ナワルニー氏(AP通信/AlexanderZemlianichenko)

ロシアの国家通信監視機関は2日、投獄された野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏の関係者が開発したアプリを削除するようアップルとグーグルに命じ、要請に応じなかった場合は罰金を科す可能性があると警告した。

国家通信監視機関の報道官は声明の中で、「アプリを削除しなかった場合、アップルとグーグルは9月19日に予定されている議会選挙に干渉したと見なされる可能性がある」と述べた。

ナワルニー氏の関係者が開発したアプリは、議会選挙に出馬するナワルニー派閥の主要公約であるスマート投票戦略を推進している。この公約は与党統一ロシア党の候補者に大きな影響を与える可能性が高いと伝えられている。

今回の議会選挙は2024年の大統領選挙の前哨戦に位置付けられており、与党の圧勝を望むウラジーミル・プーチン大統領は野党関係者、独立系メディア、人権活動家への弾圧を強化している。20年以上ロシアを支配しているプーチン大統領は昨年の憲法改正により、少なくとも2036年まで体制を維持できるようになった。

ロシアの裁判所は6月、ナワルニー氏が設立した汚職撲滅財団と同氏の関係者が管理する地方事務所を過激派組織に指定し、組織に関与する者は公職に就けなくなった。ナワルニー氏の政策や公約に言及したり、同財団の情報を拡散したりすると取り締まりの対象になる可能性がある。

一方、現地メディアによると、南部の都市で生活する野党活動家のベラ・ナシビアン氏は、インスタグラムのアカウントにスマート投票戦略の広告を貼った容疑で拘留されたという。地方裁判所は2日、ナシビアン氏に過激派組織のシンボルを広めた罪で懲役5日の実刑判決を言い渡した。

また国家通信監視機関は、ナワルニー氏の関係者または支持者が運営している約50のWebサイトを閲覧できないようにした。同通信機関はこれらのWebサイトを「過激派組織のプロパガンダを広める違法サイト」と見なしている。

警察も取り締まりを強化している。現地メディアによると、警察当局はナワルニー氏の関係者のWebサイトを閲覧しスマート投票戦略の情報を拡散した個人を追跡し、何かしらの圧力をかけたという。

ナワルニー氏はプーチン大統領の独裁に抵抗する野党の顔であり、今年1月にドイツから帰国した直後に逮捕され、2月の秘密裁判で懲役2年半の実刑判決を受けた。ナワルニー氏はソビエト製の神経ガス「ノヴィチョク」からの回復に5か月費やした。

フェイスブックとツイッターはロシア当局が違法と見なしたコンテンツの削除要求に応じず、その都度罰金を科されている。国家通信監視機関は今年、ロシア国内におけるツイッターの運用速度を低下させた。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は2日、「クレムリンはインターネットの巨人がロシアの法律を遵守せず、過激派組織のコンテンツを削除しなかった場合、厳しく対応するだろう」と警告した。「過激派組織に関与する者たちの情報を垂れ流すことは許可されません。命令に従わなかった場合、ロシアはアメリカの企業が内政に干渉したと見なすでしょう...」

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