◎欧州最大の天然ガス供給国であるロシアは、意図的に供給量を抑えたと非難されている。
2021年10月13日/ロシア、首都モスクワで開催されたロシアエネルギーウィークの本会議、ウラジーミル・プーチン大統領(Mikhail Metzel/Sputnik/Kremlin/Pool/ AP通信)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は13日、ヨーロッパで進行中のガス価格高騰について、「ロシアは天然ガスを政治の武器に利用したことはない」と語った。

欧州最大の天然ガス供給国であるロシアは、意図的に供給量を抑えたと非難されている。

しかし、プーチン大統領は首都モスクワで開催されたエネルギーフォーラムの中で、天然ガスの供給量を意図的に抑えたというEUの主張を「完全なゴミ」と呼んだ。

EUのガス卸価格は今年1月から約250%増加し、消費者と企業に深刻な影響を与えている。

EUのガス価格は天然ガスの世界的な需要の高まりを受け、過去最高を記録した。天然ガスの需要はパンデミックから回復しつつあるアジアやその他の地域で劇的に高まっている。

プーチン大統領はエネルギーフォーラムの中で、「欧州は自分の意思で天然ガスの購入量を減らしたにもかかわらず、供給国を非難している」と語った。「国のエネルギー市場を安定させるためには、長期的な計画を立て実行に移さなければなりません」

プーチン大統領は、「ガスプロムは既存の契約に基づき、欧州に遅滞なく天然ガスを送っている」と述べ、要求があれば新たな契約に基づき供給量を増やすことができると強調した。「ロシアは大切なパートナーである欧州の要求に応じ、必要な分だけ天然ガスの供給量を増やすことができます。私たちは決して拒絶しません。私たちは契約を守ります」

アナリストによると、ロシアの半国営企業ガスプロムは長期契約に基づいて天然ガスを供給しているが、追加のガスは販売しておらず、主に国内のニーズに対応しているという。

一部のアナリストと政治家はスポット市場に関与しないガスプロムを非難し、「プーチン大統領は最近完成したノルドストリーム2(ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン)の最終承認を早めるようドイツとEUの規制当局に圧力をかけている」と指摘した。

ロシアとEUは天然ガスの長期供給契約を結んでいるが、プーチン大統領は需要に応じてその日の取引価格が変動するスポット取引を望んでいる。

プーチン大統領は、ロシアは天然ガスの供給を増やしたが、米国はアジアの需要の高まりに伴い欧州への供給量を減らしたと述べ、EUの主張は間違っていると非難した。「ロシアは天然ガスを政治の武器に利用しているという主張はまったくナンセンスであり、完全に間違っています。私たちは欧州への供給量を契約に基づき増やしています」

またプーチン大統領は、バルト海に建設されたノルドストリーム2は、ウクライナの旧ルートより約2,000kmも短く、輸送に必要なコストを抑えることでガス価格は値下がりするため、消費者にとっても好ましいと強調した。

ウクライナとガスプロムの契約は2024年に切れる予定。ロシアは旧ルートの輸送を減らし、ノルドストリーム2を欧州のメインパイプラインにする予定だが、これを実行するとウクライナは数十億ドル規模の輸送費損失を被ることになる。ロシアとウクライナは2014年のクリミア併合以来、激しく対立している。

プーチン大統領は旧ルートを「哀れな状態」と以前述べたことに言及した。「ウクライナルートは何十年も修理されていません。ノルドストリーム2は欧州に安価なガスを届けるでしょう」

一方、欧州委員会のエネルギー責任者であるカドリ・シムソン氏は13日の声明で、EU当局は緊急行動に向けた準備を進めていると述べた。

シムソン氏は脆弱な世帯への緊急所得支援、企業への国家援助、そして的を絞った減税を検討するよう加盟国に促した。また、加盟国のガスおよび電力会社は必要に応じて世帯への支払い通知を一時的に停止し、大規模な供給停止(停電)を回避するために必要な措置を取るよう助言した。

料金の一時免除が実行された場合、ガスおよび電力会社の損失はEU予算で賄うことになると想定されている。

シムソン氏は脆弱な世帯の保護と企業への支援が重要と強調した。また、これらの措置と並行して、欧州委員会でEUの天然ガスをまとめて購入する検討も進めると述べた。主要メディアによると、一括購入に参加するかどうかは加盟国の判断に委ねられるという。

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