◎ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相:「私たちは国際的な生活から孤立したくはありませんが、その準備を進めなければなりません。平和が必要な場合は、戦争に備える必要があります」
◎EUはロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏の扱いをめぐり、ロシアに新たな制裁を科す可能性があると警告している。
2021年2月 EPA通信/ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相

2月12日、ロシアは野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏をめぐる問題でEUが新たな制裁を科した場合、関係を断ち切る準備はできていると警告した。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は声明の中で、ロシアは孤立したくないが、潜在的なEU制裁の可能性を考慮し自給自足を増やさなければならないと述べた。

セルゲイ・ラブロフ外相:
「私たちは国際的な生活から孤立したくはありませんが、その準備を進めなければなりません。平和が必要な場合は、戦争に備える必要があります」

ラブロフ外相は記者に「ロシアはEUとの関係を断ち切る方向に進んでいるのか?」と質問され、「断絶を想定し備える必要がある」と答えた。

EUはナワルニー氏の扱いをめぐり、ロシアに新たな制裁を科す可能性があると警告している。

先週、ロシアとEUは互いの外交官3名を追放した。

ロシアは3人の外交官がナワルニー氏を支持する集会に参加したと非難した。この措置はEUのジョセップ・ボレル外務長官がロシアを訪問している最中に行われた。

EU加盟国のドイツ、ポーランド、スウェーデンは今週、ロシアの外交官を追放した。

2021年2月2日 ロイター通信/ロシア、首都モスクワの裁判所、アレクセイ・ナワルニー氏

ラブロフ外相はEUとの経済的関係の重要性を強調したうえで、ロシアは双方に有益な協力を維持し続けるだろうと述べる一方、最悪の事態に備えて、自国の資源を増やさなければならないとEUをけん制した。

クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ペスコフ氏は声明で、ロシアはEUとの関係を維持したいが、相手が敵対的な行動をとった場合、最悪の事態に備えると述べた。

ペスコフ氏はオンライン会見でラブロフ外相の発言について質問を受け、次のように述べた。
「私たちは自立しなければなりません。私たちは最もデリケートな戦略分野のセキュリティを確保し、狂気が蔓延した場合に備えて、奪われる可能性のあるすべてのものを自国のインフラストラクチャに置き換える準備を進める必要があります」

欧州委員会のピーター・スタノ報道官は12日の声明で、EUは協力的な対話の準備と双方に有益な協力を歓迎すると述べ、「ロシアは関係を断ち切る気がないことを示した」と付け加えた。

ドイツ外務省のアンドレア・サッセ報道官はラブロフ外相のコメントについて、「困惑しており、理解できない」と述べた。サッセ報道官は記者団に、ハイコ・マース外相はロシアとの関係に不満を示しているが、ドイツはロシアとの協力関係に関心があると強調した。

ナワルニー氏はウラジーミル・プーチン大統領の独裁に抵抗する野党指導者の代表であり、1月17日にドイツから帰国した直後に逮捕された。ドイツはナワルニー氏を暗殺する目的でソビエト製の神経ガス「ノヴィチョク」が使用されたと主張したが、ロシアは否定している。

先週、ナワルニー氏は執行猶予期間中の条件に違反した罪で実刑判決を受け、強制収容所に収監された。同氏は2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けたが、事件の被害者とされる企業は事件自体を事実無根と却下し、「詐欺にあった覚えは一切ない」とロシア当局を非難している。

ナワルニー氏はプーチン大統領の独裁を強化した憲法改正を非難する動画の中で、第二次世界大戦の当局関係者の名誉を棄損した罪で12日に法廷に戻った。同氏は動画に登場した関係者を「腐敗したロシアの手先」「良心の欠片もない」「裏切り者」と呼んだ。

プーチン大統領の側近の多くは、EUとアメリカの制裁(資産凍結と入国禁止)を受けている。この制裁は2014年のクリミア半島併合時に発動した。

EUの外相は2月22日の会合でロシアに対する新たな制裁について話し合うと伝えられている。

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