◎2020年5月、ノリリスク・ニッケル社の発電所の貯蔵タンクからディーゼルオイル約21,000トンが漏れ出し、周辺の土壌、河川、湖を汚染した。
2020年6月/ロシア、ノリリスク、アンバルナヤ川に流出したディーゼルオイル(AFP通信)

報道によると、ロシア北部で深刻な環境汚染災害を引き起こしたノリリスク・ニッケル社が罰金約2,200億円を支払ったという。

2020年5月、同社の発電所の貯蔵タンクからディーゼルオイル約21,000トンが漏れ出し、周辺の土壌、河川、湖を汚染した。これに伴いウラジーミル・プーチン大統領は環境非常事態を宣言し、オイルの回収と同社の調査を命じた。

プーチン大統領は先日開催された政府の会合で、「罰金はノリリスクと周辺地域の環境を改善するために使用してほしい」と語った。

政府当局者によると、今回の罰金額は国内の環境汚染災害で支払われたものとしては過去最高だという。

ノリリスク・ニッケル社は先月裁判所に罰金を支払うよう命じられ、上訴しないことを決めた。ロイター通信によると、同社の2020年の純利益は罰金の影響で39%減少したという。

ロシア、クラスノヤルスク地方、ノリリスク

ノリリスク・ニッケル社の発電所は、北部クラスノヤルスク地方ノリリスクの河川近くに位置する。ディーゼルオイルは錆びついたタンクに保管されており、昨年5月29日頃から漏れ出したと伝えられている。

調査員は永久凍土がとけ、地盤が緩んだ結果、タンクの一部が破損したと報告した。北極圏では5月中頃から気温が急上昇していた。

流出したオイルは周辺の土壌とアンバルナヤ川を汚染し、ノリリスクの北約20km地点まで広がり、カラ海(北極海の一部)につながるピャシノ湖に到達した。報告によると、オイルは約350万㎢(日本の面積の約10倍)を汚染したという。

ロシアのグリーンピース気候プロジェクトのヴァシリー・ヤブロコフ氏は当時、「流出による環境への影響は数十年続く可能性があります」と述べていた。

ロシアの環境ウォッチドッグで活動していたオレグ・ミトボル氏によると、北極圏周辺でこれほどの規模の事故が発生したことは過去に一度もなかったという。ミトボル氏は地元メディアの取材に対し、「浄化にかかる費用は約1,000億ルーブル(約1,500億円)、浄化し終えるには5年から10年ほどかかる可能性があります」と述べた。

プーチン大統領は当時、ノリリスク・ニッケル社の報告が遅れたことに激怒したと伝えられているが、同社は「タイムリーかつ適切な方法で政府に報告した」と主張していた。

鉱業と製造業で発展したノリリスクは、環境汚染のホットスポットと呼ばれている。2016年、ノリリスク・ニッケル社は工場で発生した事故の影響で近くの河川が赤く濁ったと認めた。

地元メディアによると、同社は2030年までに環境プロジェクトに約6,000億円を投資する予定だという。

2020年6月/ロシア、ノリリスク・ニッケル社の発電所の一部(ゲッティイメージズ)
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