◎ロシア軍はウクライナ東部と南部で苦戦を強いられ、ウクライナ軍に押し込まれている。
2022年10月14日/カザフスタン、首都アスタナ、ロシアのプーチン大統領(Valery Sharifulin/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は14日、ウクライナに対する新たな大規模攻撃は「現時点では」必要ないと考えていると述べた。

プーチン氏はカザフスタンの首都アスタナで開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)後の記者会見で、「ほとんどの目標は達成された」と述べ、「この特別軍事作戦の目標はウクライナを破壊することではない」と強調した。

またプーチン氏は予備役の部分動員について、2週間以内に目標にの30万人に達するという見方を示した。

ロシア軍はウクライナ東部と南部で苦戦を強いられ、ウクライナ軍に押し込まれている。

プーチン氏は記者会見の中で、「我が軍はウクライナの目標29カ所のうち22カ所を破壊し、残り7カ所への攻撃準備を進めつつある」と述べた。

またプーチン氏は10日の大規模ミサイル攻撃のような攻撃は必要なく、「別の任務を進めている」と説明した。

ウクライナを支援する国際司法チームによると、首都キーウを含む主要都市に対する10日の攻撃では少なくとも26人の死亡が確認されている。

プーチン氏はこの攻撃をウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で発生した「テロ」への報復と説明し、攻撃を指示したと認めた。

プーチン氏は、「ロシアの目標はウクライナの破壊ではない」と強調したうえで、「特別軍事作戦は正しい選択だったと確信している」と述べた。「我々はウクライナの破壊を望んでおらず、今ウクライナで起きていることは控えめに言っても楽しいことではありません。しかし、ロシアが攻撃しなければ我々が(NATO軍の攻撃を受け)同じ目に遭っていたでしょう」

またプーチン氏は予備役22万人が動員され、そのうち1万6千人がすでに戦闘に加わっており、これ以上の招集は必要ないという見方を示した。

この動員令はロシア国内で不満を引き起こし、何十万ものロシア人が近隣諸国に逃亡している。

米シンクタンク戦争研究所は以前の報告で、「新たに動員された要員は適切なレベルの訓練を受けずに戦地に派遣され、前線でウクライナ軍の砲撃にさらされる可能性が高い」と説明している。

ロシア国営メディアはロシア軍の戦死者数は7500人超と発表しているが、西側の専門家やシンクタンクは5万~最大10万人が死亡したと推定している。ロシア軍は13日、今回動員された兵士5人が入隊後に死亡したと報告。死亡場所は明らかにしていない。

プーチン氏は旧ソ連構成国との関係について、「特別軍事作戦は影響を与えていない」と主張した。

またプーチン氏は「懸念を表明する国の気持ちを理解しているが、それらの国には詳細を説明している」と語った。

しかし、多くのロシア人亡命者を受け入れているカザフスタンのトカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領はウクライナ侵攻に関してロシアと距離を置こうとしている。

西側諸国もこの地域におけるロシアの影響力は低下しているとみている。

2022年10月14日/ウクライナ、東部ハルキウ州郊外の墓地(Francisco Seco/AP通信)
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