◎ウクライナ軍の反攻は大きな成果を上げ、破竹の勢いで東部と南部の占領地を奪還している。
2022年9月25日/ウクライナ、東部ハルキウ州イジュームの親子(Evgeniy Maloletka/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は7日、ロシア軍は核兵器使用の可能性に備えて準備を始めているが、核兵器を使用する準備が整ったとは考えていないとメディアに語った。

ゼレンスキー氏は7日に公開された英BBCニュースのインタビューで、ロシア軍に圧力をかけた結果、核戦争のリスクが高まっているという批判を却下した。

またゼレンスキー氏はNATOの攻撃でロシアの核兵器を使用不可能にする必要があると発言したことについて、「誤訳であり、核兵器の使用を望んでいる人間はひとりもいない」と反論した。

この数週間、ウクライナ軍の反攻は大きな成果を上げ、破竹の勢いで東部と南部の占領地を奪還している。ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナ4州を併合したと宣言したが、ウクライナ軍は敵の陣地に深く切り込み、ロシア軍を追い出している。

国際社会はこの併合を認めておらず、戦争がエスカレートするという懸念が高まっている。プーチン氏を含むロシアの高官は「新領土」を守るために核兵器を使用すると示唆しているが、米国は今のところ、ロシア軍が核兵器を移動させたり使用しようとしている兆候はみられないと報告している。

ゼレンスキー氏はBBCに、「ロシアは核兵器を使用する可能性に備えて準備を始めており、それは非常に危険な兆候と言える」と警告した。

またゼレンスキー氏は、「核兵器を使用する準備が整ったとは思わないが、準備は始まっており、使うか否かにかかわらず、それを口にすること自体が危険だと思う」と語った。

ロシア国内でもプーチン氏が核のボタンを押すのではないかという懸念と反発が高まっている。独立系紙ノーバヤ・ガゼータ欧州は社説の中で、「核のボタンを議論すること自体間違っている」と政府高官を糾弾している。

ゼレンスキー氏は「ロシアの権力者たちは豊かな人生を好み、核兵器がもたらすリスクを好まない。したがって、一部の専門家が言うほど差し迫っているとは思わない」と語った。「彼らはそれを使えば引き返せなくなることを理解しています...」

一方、ゼレンスキー氏は6日に行われた豪シンクタンクの討論会にオンラインで参加した際、NATOの攻撃でロシアの核兵器を使用不可能にする必要があると発言したことについて、自分のウクライナ語が誤訳されたと反論した。

ロシア大統領府はこの発言に強く反発し、「ウクライナは世界大戦を望んでいる」と非難した。

ゼレンスキー氏は、「ロシアは地球の脅威あり、今すぐ行動を起こす必要がある」と訴えた。また、ロシア軍がウクライナ南部ザポリージャ原発を占領したことに言及し、「ロシアは最初の一歩を踏み出している」と警告した。

ザポリージャ原発を含むザポリージャ州の一部はロシアの支配下に置かれているが、その運転はウクライナの技術者が行っている。

ゼレンスキー氏は、「世界はより強力な制裁を科すことでロシアの行動を止めることができる」と述べ、国際社会に対ロシア制裁の強化を呼びかけた。

ウクライナ軍は西側の同盟国から供与された兵器でロシア軍を押し返し、数百の町と集落を奪還している。

一方、ロシア軍の敗走はプーチン氏を焦らせ、ロシア国内でかつてない異常な批判を巻き起こしている。

予備役30万人を徴兵すると期待されている部分動員令は戦争に反対するロシア人の国外逃亡と反戦デモを引き起こした。

ゼレンスキー氏はロシア人に対し、「生命、権利、魂のために戦おう」と呼びかけた。「今回動員された若者たちは丸裸で銃も持たずに戦地に飛び込もうとしています。ケバブになりたいのなら来てください。しかし、自分の命と生活が大切であれば、戦わなければなりません...」

2022年10月7日/ウクライナ、東部ハルキウ州郊外、支援物資の配給を待つ母子(Francisco Seco/AP通信)
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