◎ラブロフ外相のヒトラー発言は物議を醸し、ユダヤ人の怒りを引き起こした。
2022年4月26日/ロシア、首都モスクワの政府庁舎、セルゲイ・ラブロフ外相(Maxim Shipenkov/Pool/ロイター通信)

イスラエル政府は5日、ロシア外相が「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れている」と発言したことについて、プーチン大統領が同国のベネット首相に直接謝罪したと発表した。

ラブロフ外相のヒトラー発言は物議を醸し、ユダヤ人の怒りを引き起こした。

イスラエル首相府によると、プーチン大統領はベネット首相との電話会談の中で謝罪したという。同首相府は声明の中で、ベネット首相はユダヤ人とホロコーストの記憶を明確にしたことに感謝したという。

ロシア外務省は謝罪には触れていない。

ロシアは「特別軍事作戦」でウクライナの非軍事化と「非ナチ化」を達成すると主張し、ユダヤ人のゼレンスキー大統領をネオナチのリーダーと呼んでいる。

ラブロフ外相はナチスによるユダヤ人の大量虐殺を追悼するホロコースト記念日(4月27~28日)の数日後に伊メディアの取材の中でヒトラー発言をした。

イスラエルのラピド外相はこの発言に激怒し、ロシアはウクライナで大量虐殺を行っていると厳しく非難した。

ラブロフ外相は伊メディアに、「ゼレンスキー大統領はユダヤ人なのに、なぜロシアはウクライナの非ナチ化のために戦うと主張しているのか?」と質問され、「間違っているかもしれないが、ヒトラーにもユダヤ人の血が流れている。ゼレンスキーがユダヤ人であることは全く意味がない。賢明なユダヤ人は、最も熱心な反ユダヤ主義者である」と答えた。

ロシア外務省は3日、「イスラエルはウクライナのネオナチを支援している」とラピド外相に応戦し、火に油を注いだ。

ベネット首相もヒトラー発言を非難し、「歴史上最も恐ろしい犯罪者の責任をユダヤ人に負わせるべきではない」とした。

イスラエル首相府はプーチン大統領の謝罪を受け入れ、「ロシアがユダヤ人とホロコーストの記憶に対する態度を明らかにしたことに感謝する」と発表した。

ロシア外務省は両首脳がホロコーストについて議論したと認めているが、プーチン大統領の謝罪には言及していない。

ベネット首相は停戦協定の仲介にあたっているものの、西側の対ロシア制裁には参加せず、批判を浴びている。

ロシアはイスラエルの隣国シリアのアサド政権を支援しており、イスラエルはロシアとの関係が悪化すればシリア内戦の火の粉が降りかかっていると恐れている。

イスラエルの地元メディアは今週、ベネット首相はウクライナへの支援強化を検討していると報じた。

2021年6月20日/イスラエル、エルサレムの政府庁舎、ベネット首相(中央)とラピド外相(左)(Emmanuel Dunand/AP通信)
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