◎ローマ法王が大使館に直接出向くのは異例中の異例。
2015年6月10日/バチカン市国、フランシスコ教皇とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(Gregorio Borgia/Pool/AP通信)

2月25日、ローマのフランシスコ教皇がロシア大使館を訪問し、ウクライナで進行中の戦争に懸念を表明した。

ローマ法王が大使館に直接出向くのは異例中の異例。バチカン市国によると、教皇は「私にできることは何でもする」と確約したという。

通常、ローマ法王はバチカンで各国の首脳や大使を迎えるため、懸念を表明したいのであればバチカン外相がロシア大使を呼び出すことになる。

教皇はバチカンの国家元首兼全世界のカトリック教徒の精神的指導者であり、バチカンを離れ自らロシア大使館に足を運ぶことはロシアの侵攻に対する怒りと戦争の即時終結を求める意志の表れであった。

バチカン市国は声明の中で、ローマ法王が懸念を表明するために自ら大使館に足を運んだという記録は残っていないと述べた。

AP通信によると、教皇らはローマのコンチリアツィオーネ通りにあるロシア大使館に白い小型車で向かったという。

バチカンのブルーニ報道官は記者団に、「教皇は戦争への懸念を表明するために大使館に向かい、30分ほど滞在した」と述べた。

戦争の即時終結を呼びかける教皇の呼びかけは世界に反響し、多くの信者が3月5日(灰の水曜日)を平和を祈る日に設定するよう促している。

しかし、信者たちはロシア正教会の反感を買うことを恐れ、公にロシアを名指しで呼ぶことは控えている。

教皇は今週水曜日の一般謁見の中で世界の政治指導者に、神の前で良心を吟味し、国際法を遵守せず民間人を傷つけるような行動は避けるよう強く求めていた。

その翌日、バチカンの国務長官であるパロリン枢機卿は、「外交に希望を託す」と声明を発表した。

東方正教会最大の教会であるウクライナ・ギリシャ・カトリック教会は、教皇の異例の大使館訪問を歓迎した。

同教会のスヴィアトスラヴ・シェフチュク大司教は25日の声明で、「教皇は電話で私にできることは何でもすると確約しました」と明らかにした。

シェフチュク大司教によると、教皇はウクライナで被害を受けた地域の聖職者と市民の窮状について質問したという。教会と聖職者が戦闘に巻き込まれたかどうかは分かっていない。

バチカンも声明の中で、「教皇はウクライナと苦しんでいる人々への支援と祈りをシェフチュク大司教に確約した」と述べている。

教皇は27日に予定されていたフィレンチェ訪問を膝の痛みを理由にキャンセルし、来週の灰の水曜日の行事にも出席しないと発表していたため、電撃訪問は驚きをもって報じられた。

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