◎ソ連兵の墓地はワルシャワの公園内にある。
2022年5月9日/ポーランド、首都ワルシャワの記念墓地近く、赤ペンキをかけられた駐ロシア大使(Maciek Luczniewski/AP通信)

ポーランドの首都ワルシャワで9日、ロシアの対独戦勝記念日に合わせて赤軍兵の墓地を訪問した駐ロシア大使が親ウクライナ派に赤い液体をかけられた。

ロシア外務省の報道官は「欧州の人々は鏡に映る自分の姿を見るべきだ」とし、攻撃を非難した。

現地メディアによると、セルゲイ・アンドレーエフ(Sergei Andreev)大使は献花を妨害され、赤い液体をかけられたという。

ポーランドのラウ(Zbigniew Rau)外相も外交官への攻撃を非難した。「外交官はその国の政策に関係なく、特別な保護下に置かれています...」

アンドレーエフ大使と護衛はウクライナ侵攻に反対する数百人の活動家に囲まれ、赤い液体をかけられた。

活動家たちはウクライナの国旗を掲げ、大使らを「ファシスト」「殺人者」とののしった。一部の活動家は赤ペンキで塗りつぶした白いシーツを体に巻き付け抗議した。ロシア大使館の関係者も赤い液体を浴びた。

ロシア外務省報道官は、「ネオナチの崇拝者が本性を現した」と述べている。

ロシア国営メディアのコメンテーターは、「ロシア政府はポーランド大使を国外追放する可能性がある」と指摘した。

ポーランド政府はアンドレーエフ大使の警備を放棄したという批判に直面している。

シェンキェヴィチ(Bartlomiej Sienkiewicz)元内相は、「政府は大使を保護すべきだった」と厳しく非難した。

しかし、カミンスキ(Mariusz Kaminski)内相によると、政府はアンドレーエフ大使の墓地訪問と献花に反対し、ワルシャワ警察は大使の避難を手助けしたという。

大使はワルシャワで戦勝記念日の行進を行いたいと希望していたが、国や市当局がこれに反対したため、献花に変更した。

カミンスキ内相は、「ウクライナ侵攻におけるロシアの大量虐殺に反対するデモは合法だった」とした。

デモ隊は8日遅くにもワルシャワで反戦デモを行い、ロシア大使館の周辺にはトラクターや車両が集まった。

ソ連墓地はワルシャワの公園内にある。ポーランド国内の対ナチス戦で死亡したソ連兵は2万人以上と推定されている。

ポーランドは共産主義支配を脱して以来、赤軍の記念碑をいくつか撤去したが、この墓地は残している。ソ連はナチスに勝利したものの、戦争初期にナチスとの密約に従ってポーランドに侵攻し、大量処刑やシベリア送還などの残虐行為を行った。

スポンサーリンク