◎ベラルーシは西側寄りの隣国に移民希望者を送り込むことで地域を不安定化させようとしており、国際社会から非難されている。
2021年8月20日/ポーランドとベラルーシの国境周辺、アフガニスタン難民(Michal Kosc/AP通信)

9月27日、ポーランドの当局者はベラルーシとの国境沿いに発令されている非常事態宣言を延長するよう政府に求めた。

ベラルーシは西側寄りの隣国に移民希望者を送り込むことで地域を不安定化させようとしており、国際社会から非難されている。

ポーランドのマリウシュ・カミンスキー内相は27日の記者会見で、「ベラルーシから送り込まれてくる一部の移民希望者はテロリストグループと関係がある」と主張し、ベラルーシ政府に挑発的な行動をやめるよう要求した。

またカミンスキー内相は、8月以来、不法入国者を少なくとも9,400人取り締まったと述べた。現地メディアによると、不法入国の罪で逮捕された者のうち、約1,200人が拘置所に収容されているという。

カミンスキー内相は政府の特別部隊がまとめた調査結果を公表した。それによると、収容された約1,200人の電話にはテロ組織やロシアとの関係を示す複数の犯罪歴が記録されていたという。

カミンスキー内相は記者団に対し、「調査結果は、ポーランドとEUへの移民送り込み攻撃にロシアが関与していることを示している」と述べた。「一部の容疑者はロシアとの関係を示す複数の写真を携帯に保存していました...」

記者会見の後、ポーランド政府は声明で、「テロリストグループとつながりのある個人は深刻な安全保障上の脅威をもたらす可能性がある」と述べ、国境沿いに出している非常事態宣言を延長すると示唆した。

一方、マリューシュ・ブワシュチャク国防相は、「国境付近に配備されているベラルーシ軍の兵士は威嚇射撃や挑発的な行動を繰り返している」と述べ、ベラルーシ政府を非難した。「国境付近の緊張は重大事件につながる可能性があります...」

EUはベラルーシの背後に控えているロシアの動きを警戒している。

ポーランド政府は9月初旬に30日間の非常事態を宣言した。カミンスキー内相は宣言期間を少なくとも60日間延長するよう求めている。

ベラルーシと国境を接するリトアニアとラトビアも同様の問題に直面しており、独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領とロシア政府を非難している。

ポーランドは国境沿いの警備を強化し、カミソリワイヤー付きのフェンスを建設して不法入国者に対処した。現地メディアによると、移民希望者の大半はドイツを目指しているという。不法入国に成功した者の数は分かっていないが、当局は数十から数百人にのぼる可能性があると認め、周辺地域の住民に注意を呼びかけている。

一部の人権活動家や団体は当局の厳しい取り締まりを非人道的と呼び、非難している。国境付近で立ち往生した移民希望者5人が死亡したという報道は活動家の怒りと抗議デモを引き起こした。しかし、ポーランド人の大多数は非常事態宣言と取り締まりの強化を支持している。

首都ワルシャワの地元メディアによると、27日にポーランド赤十字社の事務所前に集まった数人の活動家は移民希望者の支援に失敗した赤十字を非難し、座り込み抗議を始めたという。

座り込みに参加した抗議者のひとりはAP通信に、「戦争や貧困で自宅を失った移民希望者は人道的に扱われるべき」と述べた。「政府はひどく傷ついた移民希望者を容赦なく逮捕しています。非人道的な扱いは決してゆるされません...」

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