◎許可なく国境を越えたベラルーシ軍の兵士3人はライフルと思われる武器を所持していた。
2021年9月1日/ポーランドとベラルーシの国境、不法移民を監視するポーランド軍の兵士たち(Czarek Sokolowski/AP通信)

11月3日、ポーランドの外務省はベラルーシ軍の武装兵が領土内に侵入したことを受け、駐ベラルーシ大使を召還したと発表した。

外務省によると、許可なく国境を越えたベラルーシ軍の兵士3人はライフルと思われる武器を所持していたとう。ポーランド軍のスポークスマンは記者団に対し、「3人はパトロール部隊と遭遇した際、武器に弾を装填し、ベラルーシに戻った」と述べた。「今回の事件はベラルーシ政府の体系的な挑発の中で最も危険かつ深刻なものです...」

地元メディアによると、事件は国境から約300mの地点で11月2日未明に発生したという。

ポーランドは親ロシアのベラルーシから送り込まれてくる不法移民に悩まされている。

ベラルーシの独裁者、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領はEUの厳しい経済制裁への対抗措置として中東とアフリカの移民希望者を隣国に送り込み、混乱を引き起こそうとしている。

外務省は声明の中で、「ピョートル・ワルジク副外相はベラルーシのアレクサンダー・チェスノフスキー駐大使に、意図的な侵入はいかなる理由があろうと許されないと厳重に抗議した」と述べた。

またワルジク副外相は、「ポーランドは国境越えを阻止するためにあらゆることをする」と警告した。

ベラルーシは事件に関する声明を発表していない。

ベラルーシはここ数カ月の間にシリア、イラク、アフガニスタン、アフリカから数千人の移民希望者を観光ビザでかき集め、隣国のポーランド、リトアニア、ラトビアに送り込んでいる。

ポーランドとリトアニアはルカシェンコ大統領の独裁に抵抗する野党関係者や活動家を積極的に受け入れ、ベラルーシの怒りを買った。東京2020五輪の陸上競技に出場したベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ選手もポーランドに亡命している。

西側諸国の指導者たちはロシアの支援を受けるベラルーシがEUの不安定化を狙い移民を送り込んでいると繰り返し非難しているが、ルカシェンコ大統領はこの主張を却下している。

欧州委員会のピーター・スタノ報道官は3日、ベラルーシ軍の領土侵入を非難し、「ルカシェンコ大統領はEU加盟国に対する挑発を繰り返し、危機を悪化させている」と述べた。

ベラルーシ軍の兵士はポーランドに対する挑発を繰り返しており、空包で威嚇するだけでなく、国境沿いに設置されたフェンスを破壊したという事件も複数報告されている。

ポーランド議会は先月末、ベラルーシの国境に沿って壁を建設する計画を承認した。壁の建設費用は3.5億ユーロ(約460億円)と見込まれている。

2021年8月1日/日本、千葉の成田国際空港、ベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ氏は警察に保護を求めた(ロイター通信)
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