◎ジョコビッチ選手はオーストラリア政府に提出したワクチン免除申請で誤りを指摘され、入国ビザを取り消された。
2022年1月24日/フランス、サン=ジャン=ド=リュズのレストラン、ワクチンパスポートを提示する女性(Bob Edme/AP通信)

フランスの国営メディアによると、全豪オープンテニスでオーストラリア政府に敗れたノバク・ジョコビッチ選手はコロナワクチン未接種でも5月の全仏オープンに出場できる見通しだという。

フランスで1月24日に施行された新しいコロナ対策は西側諸国の中で最も厳しく、ワクチン未接種者は公共施設やレストランを一切利用できなくなった。ただし、基礎疾患やアレルギーなどの理由でワクチンを接種できない個人は免除を申請できる。

ジョコビッチ選手はオーストラリア政府に提出したワクチン免除申請で誤りを指摘され、入国ビザを取り消された。

一連の事件は全仏オープンを主催するフランスでも物議を醸し、ジョコビッチ選手は新しい法律が施行されると全仏オープンにも出場できなくなる可能性があると大々的に取り上げられた。

しかし、24日に施行された法律は、「過去6カ月以内にPCR検査で陽性診断を受けたと証明できる人のワクチンパス提示を免除」しており、全仏テニスが予定通り5月22日に開幕すれば、昨年12月16日に陽性診断を受けたジョコビッチ選手はパス提示を免除される。

AP通信によると、フランスのスポーツ省はジョコビッチ選手の全仏オープン出場を認めるかという質問を拒否したという。

全仏オープンの主催者も以前の声明で、「政府のコロナ対策は感染状況によって変わる可能性がある」と述べていた。

フランス24によると、ジョコビッチ選手の弁護士も全仏オープンの出場に関する質問を拒否したという。

パリのカフェでワクチンパスを提示した男性はAP通信の取材に対し、「新しい法律は厳しいと思うが、コロナの感染力と医療従事者のことを考えるとやむを得ない」と語った。

フランスの感染状況は欧州の中で最も深刻で、直近1週間の陽性数は35万件を超え、一部地域の病床使用率は100%に達した。1日あたりの死亡者数もゆっくりと増加している。

ワクチン反対派と保守勢力は成人の94%がワクチン接種を終えた現在の状態で新しい法律を施行することに疑問を呈し、各地で抗議デモを続けている。

24日以前の法律は、「最近のPCR検査で陰性証明を受けた未接種者」の公共施設利用を許可していたが、24日に施行された法律は陰性証明を項目から除外し、「接種を終えた人」「6月以内に陽性診断を受け回復した人」以外はカフェを含む公共施設を利用できなくなった。

パリのレストランで働く30代の女性は地元メディアに、「私は新しい法律を支持するが、それがフランスの飲食業界に良い影響を与えるとは思わない」と述べた。

ジョコビッチ選手のオーストラリア物語は最悪の結末を迎えたが、全仏オープンは新しい法律を見る限り、恐らく出場できると思われる。なお、ワクチンを接種すれば、全豪のような事件に巻き込まれることはない。

ただし、感染状況の悪化などを理由にフランス政府が法律を見直す可能性も否定できない。また、何かしらの理由で全仏オープンが延期されれば、陽性診断から6カ月以内の個人に与えられる免除を利用できなくなる可能性もある。

2021年6月13日/フランス、全仏オープンテニストーナメントの表彰式、ノバク・ジョコビッチ選手(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
スポンサーリンク