◎ロシア軍の大規模ミサイル攻撃は主要都市のエネルギーインフラを破壊し、700万世帯が停電したと報じられている。
2022年11月16日/ポーランド、ウクライナ国境付近、ミサイルの残骸を探す当局者(Evgeniy Maloletka/AP通信)

NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は16日、ポーランド領プシェボドゥフに着弾したミサイルについて、ロシア軍が発射した可能性は低いという見方を示した。

ストルテンベルグ氏は記者会見で「それは恐らく、ウクライナの防空ミサイルである」と述べたが、証拠は示さなかった。

ポーランド外務省は前日、ウクライナ国境近くのプシェボドゥフにロシア製ミサイル1発が着弾し、2人が死亡したと発表していた。ミサイルは現地時間午後3時40分に着弾したという。

しかし、ポーランドのドゥダ(Andrzej Duda)大統領は16日の記者会見で、「ウクライナの防空システムによるものだった可能性が非常に高い」と明らかにした。

バイデン(Joe Biden)米大統領も同様の見解を示しているが、証拠は提示していない。

ストルテンベルグ氏はNATO加盟国のポーランドで死者が出たことについて、「ウクライナに侵攻を続けているロシアが悪い」と明言した。

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はロシア軍のミサイルがポーランドに入ったと主張しているが、証拠は示していない。

ゼレンスキー氏は16日のビデオ演説で、「それがウクライナのミサイルでないことは明らかだ」と述べ、「軍の報告に基づき、それがロシアのミサイルであると信じている」と説明した。

またゼレンスキー氏はプシェボドゥフ周辺で続いている調査にウクライナも参加すべきと主張した。

ロシア軍の大規模ミサイル攻撃は主要都市のエネルギーインフラを破壊し、700万世帯が停電したと報じられている。

ゼレンスキー氏によると、ロシア軍はミサイル85発を発射し、ウクライナ軍はそのほとんどを撃墜したという。

G20サミット中に発生した大規模攻撃は国際的な反発を招いた。さらに、NATO加盟国のポーランドで死者が出たという報告は、NATOの5条(集団防衛)発動もあり得るのではないかという不安を煽った。

ストルテンベルグ氏によると、NATOは今回の事態を受け、ウクライナにより高度な防空システムを供給することを約束したという。

ストルテンベルグ氏はウクライナに関する緊急会合を開き、加盟国と同盟国にロシア軍のミサイルをより正確に撃墜できる高度な防空システムを供与するよう提案し、約束を取り付けたと述べた。

またストルテンベルグ氏は今回のような事態を防ぐ最善の方法はロシアが侵攻をやめることだと強調した。「ロシアがミサイル攻撃が行わなければ、今回のような事態はそもそも起こりえません...」

ポーランドのドゥダ大統領は、「着弾したのはロシア製のS-300ミサイルの可能性が高いが、ロシア側から発射された証拠はない」と述べている。

西側のメディアは「今回の大規模攻撃はプーチン(Vladimir Putin)大統領が決して妥協しないことを示している」と報じている。

米シンクタンク戦争研究所は16日、「プーチンが武器を置けば平和になるが、ゼレンスキー大統領が戦いをやめればウクライナはロシアに飲み込まれるだろう」と指摘した。

米国のミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長も16日、同様の見解を示し、「ロシアがウクライナから政治的に撤退すれば、問題は解決する」とした。

またミリー氏はウクライナ軍が南部と東部で攻勢を強めていることに言及する一方、「ウクライナの早期軍事的勝利はあり得ない」と警告した。「現時点でウクライナ軍の勝利はクリミア半島を含むウクライナ全土からロシア軍を追い出すことと定義されていますが、それがすぐ実現する確率は低いでしょう...」

2022年11月16日/ウクライナ、西部リビウの住宅地(Mykola Tys/AP通信)
スポンサーリンク