◎サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低く、感染者の体液や飛沫に触れると感染する恐れがある。
2022年6月23日/ニューヨーク州チェルシー地区、天然痘ワクチン接種を待つ人々(Michael Scotto/NY1)

世界保健機関(WHO)は23日、世界各地で感染が報告されているサル痘について、「公衆衛生上の非常事態」を宣言した。

これでWHOが非常事態の対象とするウイルスは「ポリオ」「コロナ」「サル痘」の3つとなった。

WHOは先月、公衆衛生上の非常事態には当たらないという見解を示していたが、今月21日の緊急会合で感染が拡大していることに懸念を示し、専門家の意見を仰いでいた。

テドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長によると、サル痘は現在、75カ国で確認され、症例数は1万6000件を超えたという。

サル痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつで、1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。医療専門家によると、この重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。死亡率は5~10%。潜伏期間は7日~21日、ほとんどの患者が10日~14日で発症する。

サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低く、感染者の体液や飛沫に触れると感染する恐れがある。また、それに感染した動物の肉(ブッシュミート)をしっかり過熱せずに食べても感染する可能性がある。

テドロス氏はオンライン会見で、「これまでに5人の死亡を確認した」と述べた。

またテドロス氏は21日の緊急会合について、「専門家委員会はサル痘を公衆衛生上の非常事態に分類すべきというコンセンサスに達することができなかった」と説明した。

テドロス氏は、「サル痘の現在のリスクは、欧州を除くすべての地域で中程度である」と述べた。

またテドロス氏は「コロナのような事態に発展する危険性は低いが、さらに感染が拡大する可能性がある」と警告した。

テドロス氏はこの宣言がサル痘ワクチンの開発と感染予防対策を後押しするとした。

WHOはウェブサイトの声明で、感染リスクの高い人々を保護するための措置を取るよう各国に勧告している。

サル痘はイギリスや米国などで広がっており、イギリスの感染者は2000人を超えた。

欧米の保健当局はゲイやバイセクシャルの男性、医療従事者など、感染リスクの高い人に天然痘ワクチンを接種するよう呼びかけている。

先週更新された統計によると、今年4月以降に感染が確認された患者の99%が男性で、年齢中央値は37歳。感染者の約60%が男性と性的交渉を持っていた。

初期症状は発熱、リンパ節の腫れ、水疱に似た発疹がみられる。重症化リスクは低く、天然痘ワクチンを接種することで発症リスクを85%抑えることができるとされる。

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