◎WHOによると、サル痘は29日時点で世界78カ国に広がり、感染者は1万8000人近くに達した。
2022年7月15日/ニューヨークの医療機関、天然痘ワクチンを接種する男性(ロイター通信)

スペインとブラジルの保健当局は29日、サル痘に感染した患者が死亡したと発表した。アフリカ大陸以外で死者が報告されたのは初めて。

スペイン当局によると、国内のサル痘感染者数は29日時点で約4300人。患者3750人のうち120人が入院し、1人の死亡が確認された。死亡した個人の情報は明らかにされていない。

ブラジル当局は41歳の男性が死亡したと報告した。

声明によると、この男性はリンパ腫を患い、免疫力が低下していたという。男性は南東部ミナスジェライス州ベロオリゾンテの医療機関に入院していたが、敗血症性ショックで死亡した。

ミナスジェライス州の保健当局は声明で、「男性はリンパ腫を患い、健康に大きな問題を抱えていた」と述べ、国民にパニックを起こさないよう呼び掛けた。

ブラジル保健省によると、サル痘は主にサンパウロ州とリオデジャネイロ州で広がり、1000人近くが感染したという。

アメリカ大陸で感染が拡大している国は米国、カナダ、ブラジルの3カ国。その他の中南米諸国でも患者が報告されている。

サル痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつで、1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。医療専門家によると、この重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。死亡率は5~10%。潜伏期間は7日~21日、ほとんどの患者が10日~14日で発症する。

サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低く、感染者の体液や飛沫に触れると感染する恐れがある。また、それに感染した動物の肉(ブッシュミート)をしっかり過熱せずに食べても感染する可能性がある。

世界保健機関(WHO)は先週、サル痘が世界70カ国以上で確認されたことを受け、「公衆衛生上の非常事態」を宣言した。

WHOによると、サル痘は29日時点で世界78カ国に広がり、感染者は1万8000人近くに達した。

WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務総長は27日の会見で、「世界の感染者の70%が欧州、25%がアメリカ大陸で確認された」と報告していた。

またテドロス氏は、現在このウイルスの影響を最も強く受けている同性愛者の男性に性交渉の相手を制限するよう呼びかけた。

デンマークの製薬企業ババリアン・ノルディック社製の天然痘ワクチンはサル痘を予防する効果が確認されている。

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