◎全世界で推定5000万人が強制労働や強制結婚を強いられている。
炭鉱で働く少年(Getty Images)

国連は12日、戦争、紛争、気候変動、コロナの拡大やインフレの影響で格差がますます拡大し、奴隷制度が復活しつつあると警告した。

国際労働機関(ILO)によると、全世界で推定5000万人が強制労働や強制結婚を強いられているという。

ILOが「現代の奴隷制度」と呼ぶ「搾取・強制」の犠牲者はこの5年で1000万人近く増加したとみられる。

ILOのライダー(Guy Ryder)事務局長は報告書の中で、「この数字は衝撃的であり、何をすべきかは分かっている」と述べている。「労働組合、人権団体、市民社会、全世界が基本的人権を尊重し、すべての人々が奴隷ではなく、何かしらの役割を担っているという当たり前の考えを浸透させなければなりません...」

ILOは報告書の中で、「現代の奴隷制度は欧米から遠く離れた貧しい国々だけでなく、裕福な国でも起こっている」と指摘している。

「世界の強制労働者の半分以上が人口の0.001%以下の超富裕層と呼ばれる人々の下で働く低中所得者層です...」

ILOは強制労働または強制結婚を強いられている人々を現代の奴隷としてカウントしている。その被害者は「脅迫、暴力、権力乱用、その他の強制」によって現状から逃れられずにいる。

ILOは強制結婚を「終身刑」、強制労働を「拷問」と呼んでいる。

報告書によると、児童330万人を含む推定2760万人が強制労働を強いられ、その児童の半数以上が性的搾取も受けているという。

さらに2200万人が強制結婚させられ、その3分の2以上が女性で、被害者の多くは15歳以下で無理やり結婚させた。

また報告書によると、戦争やインフレを含む複数の問題が危機を悪化させ、奴隷を生み出しやすい環境を作っている。「貧困、貧困、貧困、貧困、すべての問題が貧困につながり、現代の奴隷を生み出しています...」

コロナの大流行で収入を失った日雇い労働者は借金を重ね、強制労働に利用される。ILOはコロナの拡大で「極度の貧困」に分類される人々の数が20年ぶりに増加したと報告している。

戦争・内戦・紛争も低中所得者層の生活を破壊した。多くの子供が売られ、労働を強いられ、徴兵されている。

気候変動による洪水や干ばつで土地を失い難民になった数百万人の一部も奴隷のように働かされている。

ILOは世界規模で努力しなければこの問題は解決できないと警告した。「約束や善意を表明するだけでは意味がありません。我々は行動しなければなりません...」

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