◎トム・ハンクスさん主演の映画「ターミナル(The Terminal)」はナセリさんの経験を基にしている。
フランス、パリのシャルル・ドゴール空港、外交問題に巻き込まれたイランのカリミ・ナセリさん(Getty Images/AFP通信)

フランスのメディアは12日、外交問題に巻き込まれ、パリのシャルル・ドゴール空港で約18年生活したイラン人のナセリ(Mehran Karimi Nasseri)さんが亡くなったと報じた

ナセリさんは1988年、空港内の狭いスペースに住処を構えた。

トム・ハンクス(Tom Hanks)さん主演の映画「ターミナル(The Terminal)」はナセリさんの経験を基にしている。

ナセリさんはフランスにとどまる権利を与えられたものの、AFP通信によると、数週間前に空港に戻り、そこで亡くなったという。死因は明らかにされていない。

ナセリさんは1942年生まれ。イラン南西部フゼスタン州出身で、母親を探すために欧州に渡り、トラブルに巻き込まれた。

1970年代、ナセリさんはイギリス、オランダ、ドイツなどに政治亡命書類を提出したが、内容に不備があるとして受理されず、ベルギーで数年過ごし、難民に認定された。

その後、フランスに渡り、空港の2階ターミナルで生活を開始した。

ナセリさんは自身の人生をノートにつづり、移住を希望していたイギリスに渡るチャンスを待っていた。

この事件は国際的な注目を集め、スティーブン・スピルバーグ(Stephen Spielberg)監督の目に留まり、映画ターミナルが制作された。

この映画の公開後、ハリウッド映画にインスピレーションを与えたナセリさんに話を聞こうと、多くのジャーナリストが空港に押し寄せた。

地元紙はナセリさんの話を引用し、「一時期は1日で最高6件インタビューを受けた」と報じている。

ナセリさんは1999年に難民認定を受けたものの、2006年まで空港にとどまり、病気の治療のために病院に移った。

AFP通信によると、ナセリさんは映画の制作会社から受け取ったお金でホテル暮らしを続けていたという。

しかし、ナセリさんは亡くなる数週間前に空港に戻った。報道によると、ナセリさんは現金数千ユーロを所持していたという。

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