◎法律は官報に掲載され、年金受給資格は正式に64歳に引き上げられた。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が15日、年金受給年齢を62歳から64歳に引き上げる法案に署名した。
マクロン政権は年金制度改革を「社会保障の維持に不可欠」と説明し、国民と野党に理解を求めたが、多くの市民が反対を表明し、全国各地でストとデモを繰り広げている。
憲法評議会は今週、上下両院を通過した法案を承認。マクロン氏の署名を受け、官報に掲載された。
デモ隊と野党はボルヌ(Élisabeth Borne)首相が先月、国民議会(下院)で憲法49条3項を発動し、法案を採決なしで強行採択したことに激怒している。
改革をめぐる闘争は第2次マクロン政権における最大の問題に発展した。広範なストで花の都パリは「ゴミの都」になり、暴動・略奪・放火が相次いだ。
最新の世論調査によると、マクロン氏の支持率は極右・国民連合のル・ペン(Marine Le Pen)党首を下回っている。
憲法評議会は定年引き上げ、年金受給に必要な労働年数見直しなど、改革の主要条項を支持。「法案は憲法を遵守している」と裁定した。
なお、大企業に55歳以上の雇用者数の公表を義務付けることや、高齢者向けの特別契約の創設など、6つの小さな提案は却下された。
法律は官報に掲載され、年金受給資格は正式に64歳に引き上げられた。
一方、パリを含む主要都市では評議会の決定に反対するデモが行われ、数万人が参加した。
南部マルセイユや西部ルーアンのデモ隊は市中心部の道路を占領し、大渋滞を引き起こした。
ボルヌ氏は15日にパリ郊外のスーパーマーケットを視察した際、「バカ野郎」「定年を60歳に引き下げろ」「こんちくしょう」などと唱えるデモ隊に邪魔された。