◎東京2020五輪のために来日したベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ選手は、コーチを批判したことで国内オリンピック委員会から帰国するよう命じられたとソーシャルメディアで告白し、帰国便への搭乗を拒否した。
2021年8月1日/日本、東京の羽田空港、ベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ氏は警察に保護を求めた(ロイター通信)

8月1日、東京2020五輪のために来日したベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ選手は、コーチを批判したことで国内オリンピック委員会から帰国するよう命じられたとソーシャルメディアで告白し、帰国便への搭乗を拒否した。

ツィマノスカヤ選手は自分の意思に反して荷造りを強制されたと主張し、羽田空港のターミナルビルで日本の警察当局に保護を求めた。

ツィマノスカヤ選手は8月2日の陸上女子200mに出場する予定だったが、急遽経験のない陸上女子4×400mリレーに出場するよう命じられ、インスタグラムで不満を漏らしていた。

ツィマノスカヤ選手を支援する活動家グループは1日の声明で、「彼女の命は危険にさらされており、東京のオーストリア大使館に亡命を求める」と述べた。

ベラルーシの国内オリンピック委員会(NOC)は、権威主義者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と息子のヴィクトル・ルカシェンコ会長の支配下に置かれている。

国際オリンピック委員会(IOC)は今年、ベラルーシのアスリートから昨年8月の不正大統領選挙後にルカシェンコ大統領の暴力と脅迫に直面したという告発を受け、ルカシェンコ大統領の東京五輪参加を禁じた。

ルカシェンコ大統領はIOCの決定に憤慨したが、その後、息子のヴィクトルをNOCの新会長に指名し、会長職から退いた。

ツィマノスカヤ選手はインスタグラムに投稿した動画の中で、「ベラルーシのチーム関係者から圧力をかけられたため、IOCに助けを求めた」と述べた。「当局は私を国外に連れ出そうとしています...」

2021年7月9日/ベラルーシ、首都ミンスクで開催された国内オリンピックチームとの会合、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(Maxim Guchek/BelTA/Pool/AP通信)

ベラルーシスポーツ連帯財団(BSSF)は1日、チーム関係者の対応を厳しく非難した。「ルカシェンコの支持者はアスリートを標的にしました。ツィマノスカヤ選手は首都ミンスクに強制送還されることを恐れています...」

その後、ツィマノスカヤ選手はBSSFが公開した声明の中で、「2日早朝に警察署に事情を説明した」と述べた。「私は選手村から連行された状況を日本の警察官に説明しました。私は身の安全は確保しましたが、どこに宿泊すべきか頭を悩ませています...」

ツィマノスカヤ選手の救援要請はEUに届き、ポーランドやチェコ共和国を含むいくつかの加盟国が「ビザと保護を提供する準備はできている」と声明を発表した。

ポーランドのマルシン・プジダッチ外務副大臣はツイッターに、「ツィマノスカヤ選手は人道的ビザを取得しており、希望すればポーランドでもスポーツキャリアを自由に追求できる」と述べた。

ツィマノスカヤ選手の臨時代理人を務めるBSSFのスポークスマンはAP通信に対し、「彼女は自分の家族が危険にさらされることを恐れている」と述べた。「ツィマノスカヤ選手の家族はベラルーシにいます。彼女は自分の家族が弾圧の対象になることを恐れています...」

ロイター通信などによると、ベラルーシのオリンピックチームは取材を却下したという。ツィマノスカヤ選手は7月30日に行われた陸上女子100mの予選に出場した。

ルカシェンコ大統領は5月23日に英ライアンエアーの旅客機を首都ミンスクの空港に強制着陸させ、搭乗していた反対派ジャーナリストを逮捕した。西側諸国はルカシェンコ大統領のハイジャックを厳しく非難し、事件に関与した関係者と国営航空会社に制裁を科した。

2021年7月30日/日本、東京2020五輪、女子100メートル走の予選に出場したベラルーシのクリスティーナ・ツィマノスカヤ氏(マーティン・マイスナー/AP通信)
スポンサーリンク