怒り狂うロンドンの抗議者たち

13日、首都ロンドン中心部の治安活動を行っていた警察官が、ジョージ・フロイド氏の死に抗議する暴徒の襲撃を受け負傷した。

警察官を襲った極右活動家を含むグループは、反人種主義活動家から彫像を守っていたと主張する。この暴力行為を目のあたりにしたボリス・ジョンソン首相は声明を発表、「人種差別の有無に関係なく、暴力行為は決して許されない。ロンドンに容疑者たちの居場所はない」とコメントした。

同日、反人種差別抗議運動は、ロンドンとイギリス全体で平和的に行われていた。

スコットランドヤード(SY)は、先週末から一部の抗議者たちによる暴力や略奪行為を厳しく取り締まっており、今週末も抗議活動を行ういくつかのグループに制限を課していた。しかし、彼らの多くが制限を無視したうえで、警察に対する攻撃を開始した。

SYは、13日の抗議運動だけで100人以上を逮捕したと発表。容疑者たちは暴力、破壊行為、警察官襲撃、攻撃用武器(火炎瓶、ナイフ、斧など)の所持などの罪を犯した。なお、今回の襲撃によって6人の警察官が負傷したという。

ジョンソン首相はツイッターに、「いかなる理由があろうと、暴力行為は絶対に許されない。また、警察を襲撃する者は法の裁きを受ける。平和的な抗議活動は、一部の犯罪者のせいで、ただの暴力行為に成り下がった。確かなことは、イギリスが人種差別を擁護しないということだ。私たちはそれを徹底し、実現しなければならない」とツイートした。

また、2017年3月22日のロンドンテロ事件(ウェストミンスター)で殺害されたキース・パーマー巡査の記念碑は人種差別とは一切関係ないものの、これに抗議者の一部が排尿し、騒ぎになった。プリティ・パテル内務長官はこの一件を受け、「ロンドン市民を守り殉職した警察官に対する冒とく行為。恥を知ってほしい」と述べた。

ホワイトホールに建立されたセノタフ戦争記念碑と、国会議事堂前のウィンストン・チャーチル像の周りには何百人もの白人男性たちが集まった。

これに対し警察官たちは、記念碑と像を守るべく防衛線を設置、抗議者たちに注意喚起し続けたが、正面衝突を避けることはできなかった。

暴徒化した集団は警察官をかわしつつ、記念碑の周囲に設置された壁を突破。落書きや破壊行為に明け暮れた。

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人種差別を肯定する者たち

デモや抗議活動を研究する専門家は、極右勢力の抗議者たちが人々をさらなる人種差別に駆り立てる、と警告している。

フロイド氏の死における抗議参加者たちは、以下の6つに分類できるという。
①人種差別を解消したいと考えている者。
②人種差別自体に興味はないが、周りが盛り上がっているので何となく参加している者。
③警察や政府への鬱憤を晴らしたいと考えている者。
④抗議活動に乗じた略奪で一儲けしたいと考えている者。
⑤ただ何かを破壊したい者。
⑥抗議者の列に加わり、意図的に破壊活動を行う極右主義者(保守層)。抗議者にはロクな人間がいないと印象付け、人種差別の正当化を図りたいと考えている。

平和的に抗議活動を行っている①②が大勢を占める。③は平和的であればよいが、暴力に走ると危険極まりない存在になる。④は論外。⑤もかなり危ない。

最も厄介な存在が⑥のような考えで行動する極右主義者たちである。ただし、保守的な考えの持ち主が全員人種差別肯定派と思ってはいけない。ごく一部の限られた勢力であることをお忘れなく。

彼らは人種差別を肯定しつつも、抗議活動に参加する。そして、①②の集団に入り込み、過激な破壊活動を幾度となく必要以上に行うのである。その行為はマスコミに報道される。それをテレビで見た国民の多くが、「暴力行為は決して許されない。反人種差別主義者にはロクな奴がいない。黒人も一緒だ」という負のイメージを植え付けられてしまうという。

13日の午前中、国会議事堂前に集まった抗議者数百名の多くが酒を飲み酔っ払っていた。その中に混ざった極右主義者たちは、積極的に暴力や破壊行為を行った。それを見た酔っ払いたちは、我も我もと一気呵成に動き出したのである。

警察官にも同じ要領で攻撃を仕掛ければよい。人種差別を肯定する極右主義者たちは、抗議者たちが暴徒になったことを喜び、様子を見て撤退する。

労働党のリーダーであるキール・スターマー卿は、「警察に対するいかなる暴力も容認することはできない。ロンドンで実行された暴力と破壊は、国民の憎しみを掻き立てる目的で行われた。我々はこれを決して許さない」と述べた。

「Black Lives Matter運動」の主催者は、人種差別を肯定する極右勢力との衝突を恐れており、今週末の集会には参加しないでほしい、と呼び掛けていた。

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