◎リトアニアで生活するベラルーシ市民の多くがルカシェンコ大統領の圧政から逃れた人々である。
2021年5月25日/リトアニア、首都ビリニュス、ベラルーシの野党指導者チハノフスカヤ氏(Mindaugas Kulbis/AP通信)

リトアニア政府は11日、合法的に同国に滞在するベラルーシ市民に特別なパスポートを提供すると発表した。

リトアニアで生活するベラルーシ市民の多くがルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の圧政から逃れた人々である。

ルカシェンコ氏は先週、海外に滞在する自国民のパスポート更新を禁じる政令に署名。これにより、弾圧から逃れた多くの市民がパスポートを維持するために自国に戻らざるを得なくなった。

リトアニア内務省によると、この特別パスポートはリトアニアに居住する権利を保障するもので、パスポートやそれに対応する書類を持っていないベラルーシ移民も取得できるという。

特別パスを取得すれば、近隣諸国への渡航も可能になる。

内務省の報道官は記者会見で、「特別パスの有効期限は1年の予定だが、国会で承認を得れば、さらに数年引き延ばすことができる」と語った。

ベラルーシの人権団体「ビアスナ人権センター」によると、2020年8月の大統領選に関連する大規模デモが弾圧された後、この3年間で20~30万人ものベラルーシ市民が国外に逃れたという。

リトアニアに逃れたベラルーシ市民は5万8000人を超え、その多くが親族や友人の家に身を寄せている。

2020年の大統領選に出馬したチハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏もリトアニアへの亡命を余儀なくされた。

ロシアの侵攻に直面するウクライナの隣国ポーランドもベラルーシ市民・移民に外国人向けパスポートを発行し、滞在を許可している。

チハノフスカヤ氏はルカシェンコ氏の政令について、「たとえパスポートの有効期限が切れても、迫害される恐れがあるのなら、母国に戻るべきではない」と呼びかけている。

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