◎カラス氏はエストニアの中道右派「改革党」を率い、2021年から首相を務めている。議会選は来月行われる予定だ。
2023年2月19日/ドイツ、ミュンヘン安全保障会議会場、エストニアのカラス首相(Petr David Josek/AP通信)

エストニアカラス(Kaja Kallas)首相は19日、ウクライナ侵攻が終結次第、ロシア指導部を戦争犯罪で裁かなければならないという認識を示した。

カラス氏は独ミュンヘンの安全保障会議でメディアの取材に応じ、「ロシアが西側と正常な関係を築く可能性があるとすれば、国際戦争裁判の後だ」と言明した。

またカラス氏は「ロシアの責任を問わない和平協定で戦争を終わらせることはできない」と語った。

ハリス(Kamala Harris)米副大統領を含む多くの西側首脳が会議の場でロシアを糾弾している。ハリス氏はロシアが「人道に対する罪」を犯したという認識を示し、責任を負わせる必要があると述べた。

駐米・ロシア大使はハリス氏の発言を「ロシアを悪魔化する試み」と一蹴した。

カラス氏はナチス高官の戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判を念頭に置き、「帝国主義的な目標を放棄していない国とこれまで通りの関係でいられるとは思わない」と述べた。「侵略の罪で裁かなければ、新たな戦争犯罪を招くでしょう...」

またカラス氏は「ナチスは裁判で訴追されたが、50年にわたるソ連占領下のエストニア人、ラトビア人、リトアニア人の大量追放など、旧ソ連による犯罪を追及する国際法廷は設置されなかった」と指摘した。

カラス氏は「ロシアの指導者が責任を負わなければならない」と強調した。「彼は国際法廷の場で説明責任を果たす必要があります」

カラス氏は「中国は欧米諸国が侵攻を長引かせていると主張しているが、どう思うか?」というメディアの質問に対し、「誰もが平和を望んでいるが、ウクライナの領土をロシアに割譲する取引は誤った考えを世界に示すことになる」と答えた。

「侵略はとてつもない代償を伴うと示すことが重要です。そうすれば、侵略を計画している指導者は割に合わないと考え、思いとどまるでしょう」

カラス氏はエストニアの中道右派「改革党」を率い、2021年から首相を務めている。議会選は来月行われる予定だ。

全ての有権者がウクライナ侵攻に関するカラス氏のアプローチを支持しているわけではない。ロシア寄りの極右政党はより慎重なアプローチを求め、カラス氏がエストニアを戦場に変え、燃料や食料価格の高騰を放置していると批判している。

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