◎移民約200人を乗せた木造船は先月末、南部カラブリア州クロトーネの沖合で沈没した。
イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相は9日、南部カラブリア州クロトーネで発生した移民船沈没事故を受け、人身売買組織の取り締まりを強化する計画を発表した。
移民約200人を乗せた木造船は先月末、クロトーネの沖合で沈没した。これまでに新生児を含む72人の死亡が確認され、数十人が行方不明のままである。
メローニ氏は9日の閣議で関係閣僚に刑法改正を含む人身売買組織の取り締まり強化に必要な準備を進めるよう命じた。
メローニ氏は閣議後の記者会見で、「新時代の奴隷商人を打ち負かす」と決意表明した。
またメローニ氏は、移民を死に至らしめる人身売買に30年以下の長期刑を科すという刑法改正案を閣議決定したと明らかにした。
首相府によると、移民をボートに乗せたり、人身売買に関与して移民を1人でも死に至らしめた場合、最高で禁固24年に処される可能性がある。
刑法改正には国会の承認が必要。メローニ政権は国会で過半数を保持している。
2月26日の悲劇で死亡した人や生存者の多くは、イタリアや他の西欧諸国に亡命した家族と合流することを望み、アフガン、イラン、パキスタン、シリアなどから逃れた。
沿岸警備隊は今週初めに72人目の遺体を収容した。警察は人身売買に関与したとされる3人を逮捕し、捜査を進めている。
人身売買組織はボロボロの木造船に人々を押し込み、トルコ西部から出港させた。
生存した80人の多くが自力で浜辺に泳ぎ着いた。国営イタリア放送協会(RAI)は生存者の証言を引用し、「船には約180人が乗船していた」と報じており、まだ数十人が行方不明と考えられている。
メローニ氏は移民船の事故が後を絶たないことについて、「人身売買をしない・させない・許さないことが重要であり、政府は悲劇を防ぐために必要な措置を取る」と語った。
またメローニ氏は刑法改正案について、「人身売買が国外で行われたとしても、イタリア領内で事故が発生すれば、関係機関は犯人を追跡・逮捕できる」と説明した。