◎この取引は東西のリビア政府の対立を深めると予想されている。
2023年1月28日/リビア、首都トリポリ、イタリアのメローニ首相(Yousef Murad/AP通信)

イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相は28日、リビアの首都トリポリでドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相ら政府高官と会談した。

メローニ氏は両国のエネルギー会社による80億ドル相当の天然ガス取引の調印式にも出席した。これはリビアのエネルビー部門への単独投資としては過去数十年で最大規模となる。

イタリア政府はロシアのウクライナ侵攻を受け、液化天然ガス(LNG)の新たな供給先を確保しようとしている。メローニ氏は就任から3カ月足らずでアフリカ大陸の2カ国を訪問。アルジェリアではいくつかの覚書にサインした。

イタリア首相府によると、メローニ氏は外相および内相を伴い、トリポリの国際空港から政府庁舎に向かったという。

ドベイバ政権と対立するもう一つの政府を率いるバシャガ(Fathy Bashagha)首相は会談に参加しなかった。

メローニ氏はドベイバ氏との会談後に行われた会見で「イタリアはこの地域と積極的に取引したいと考えているが、略奪は望んでおらず、アフリカの同盟国と一緒に成長したいと考えている」と述べた。

イタリアの国営エネルギー会社ENIはリビアの石油公社と80億ドル規模の契約を結び、リビア沖の2つのガス田を開発することが決まった。

この契約はリビア北部にある2つの海底油田の開発と汲み上げを行うもので、ENIは2026年にガスの汲み上げを開始し、1日あたり生産量は7億5000万立方フィートに達すると推定している。

メローニ氏は調印式の中で取引を「歴史的」と称賛し、リビアを重要な戦略的経済パートナーと呼んだ。

この取引は東西のリビア政府の対立を深めると予想されている。ドベイバ氏は東部の港町シルトに拠点を置くバシャガ政権と昨年3月頃から権力闘争を続けている。

ドベイバ氏は2021年後半に予定されていた選挙を実施できず、国際社会を失望させた。

バシャガ派のひとりであるアウン(Mohamed Aoun)石油相は調印式に出席せず、取引を違法と批判。「リビア石油公社は石油省と協議せずに取引を進めた」と主張した。

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