◎ロシアの五輪休戦違反は過去14年間で3度目。
2022年2月20日/中国、北京2022冬季五輪の閉会式、IOCのトーマス・バッハ会長(Jae C. Hong/AP通信)

2月25日、国際オリンピック委員会(IOC)は世界のスポーツ団体に対し、ロシアとベラルーシで開催予定のすべてのイベントを中止または別の国に移し、両国の国旗と国歌の使用を禁じるよう求めた。

欧州サッカー連盟(UEFA)はチャンピオンズリーグの決勝戦をサンクトペテルブルクからパリに移し、スキーとF1の運営団体もロシアで試合を行わない意向を示している。

バレーボール、射撃、アイスホッケーの世界選手権はすべてロシアで開催される予定である。ホッケーはウラジーミル・プーチン大統領のお気に入りスポーツで、同氏の地元サンクトペテルブルクで2023年5月に開催される予定。

ロシアは国連の五輪休戦を却下し、北京2022冬季五輪の閉会式から1週間も経たぬうちにウクライナに乗り込んだ。ロシアの同盟国ベラルーシも侵攻に関与している。

ロシアの五輪休戦違反は今回も含めて過去14年間で3度目。2008年の北京五輪ではジョージアを3分割し、2014年のソチ五輪終了直後にクリミアを併合した。

ジョージアから分離したテロ国家のアブハジアと南オセチアはロシアの支援を受け、ジョージア軍を打ち負かした。(南オセチア紛争)

IOCの声明はロシアに断固たる態度をとると示唆している。IOCのトーマス・バッハ会長はロシアのドーピングスキャンダルに比較的寛容で、プーチン大統領に近すぎると長い間見られていた。

バッハ会長は北京大会の開会式と閉会式のスピーチで各国に世界の平和を維持するよう強く求めていた。

IOCは声明の中で、「スポーツ団体はロシアとベラルーシ政府による五輪休戦違反を考慮し、選手の安全と安心を優先する措置を取るべきである」と述べた。

ロシアのサッカー代表チームは3月24日にモスクワでポーランド代表とワールドカップ予選プレーオフを戦う予定で、勝利すれば5日後にホームで2試合目を行う予定。

FIFAはロシア代表の扱いを検討中と伝えられている。UEFAは25日、ロシアで試合を行わないと発表した。

世界のスポーツ関係者が集まる国際競技連盟連合は5月にロシアで会議を開催する予定で、関係者はコロナの感染拡大以来初めて直接顔を合わせることになっている。AP通信によると、会議は今後数日中に中止もしくは延期が決まる見込みだという。

FIVBは今年のバレーボール男子世界選手権をロシアで開催する予定だが、ロシア代表はドーピング問題によりROCとして出場する。大会期間は8月26日~9月11日。

ドーピング問題の制裁により、ロシアは五輪や世界選手権で国名、国旗、国歌の使用を禁じられている。なお、欧州選手権などの地域大会には適用されない。

IOCは、「ロシアとベラルーシの国旗と国歌はすべてのスポーツイベントで使用すべきではない」と述べ、IOCはウクライナと連帯していると強調した。

またIOCは、3月4日に開幕する北京パラリンピックに向けて、国際パラリンピック委員会(POC)を全面的に支持すると述べた。

IOCは今回の声明で2024年パリ五輪のロシアチームの扱いには言及しなかった。

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