◎ハンガリーは国内で消費する天然ガスの85%、原油の60%以上をロシアから輸入している。
2022年2月26日/ハンガリーとウクライナの国境検問所近く、オルバン首相(Getty Images/AFP通信)

ハンガリー政府は25日、EUの執行機関である欧州委員会に新たな対ロシア制裁の議論から原油禁輸措置を除外するよう提言した。

EUはロシアの戦争資金になっている原油の輸入を2022年末までに完全に断つ追加制裁の準備を進めている。

EU制裁を発動するためには加盟27カ国の合意が必要。

中欧と東欧の一部の国はこの禁輸措置に難色を示し、もっとも強く反対しているのがハンガリーである。

ペーテル(Peter Szijjarto)外務貿易相は25日の記者会見で、「ハンガリーのエネルギー供給が保証されない限り、私たちは禁輸案に賛成しない」と語った。

ハンガリーは国内で消費する天然ガスの85%、原油の60%以上をロシアから輸入している。

ペーテル氏は欧州委員会に「禁輸を提案するのであれば、それに代わる解決策を提供しなければならない」と指摘した。「この問題は欧州委員会が作り出したものであり、その解決策は欧州委員会が提供しなければなりません。解決策が先、制裁の話はそれからです」

欧州委員会はロシア産原油に特に依存しているハンガリー、スロバキア、チェコなどの内陸国に例外を設け、段階的な期限延長を認めているが、代替エネルギーの確保は自分たちで行う必要がある。

ハンガリーのオルバン(Viktor Orban)首相は、「EUの禁輸制裁はハンガリー経済の原子爆弾となり、エネルギー安全保障を破壊する」と指摘している。

オルバン氏は23日、欧州理事会のミシェル(Charles Michel)議長に書簡を送り、5月30日に始まるEUサミットの議題から禁輸措置を除外するよう要請した。

オルバン氏は書簡の中で、「ハンガリーはすべての問題が解決するまで、EUの第6次ロシア制裁に同意する立場にない」とし、来週のサミットまでに解決策が示される可能性は非常に低いとした。

「コンセンサスが得られていない状況で制裁を議論することは逆効果だと確信しています...EUの結束を維持することが最優先事項であることに変わりはありません」

スポンサーリンク