◎ハンガリー政府はEUの対ロシア制裁に強く反対しており、ロシアより欧州経済へのダメージが大きいと主張している。
2022年9月16日/ハンガリーのオルバン首相(Darko Vojinovic/AP通信)

ハンガリーの与党「フィデス・ハンガリー市民同盟」は22日、EUの対ロシア制裁の賛否を問う国民投票を実施すると明らかにした。

フィデスのコチシュ(Mate Kocsis)議員は記者会見で、「EUのエリートが決めたエネルギー制裁の賛否を問う国民投票を行う予定だ」と語った。

「制裁は害を及ぼしています。欧州経済を破壊しているのです。我々はEUの意思決定者、ブリュッセルエリートにエネルギー制裁を維持すべきではないと呼びかけるつもりです」

政府は国民投票を「国民協議」と呼び、国内の全成人にアンケートを送付し、郵送またはオンラインで回答を求めるとしている。

極右のオルバン(Viktor Orban)首相は2010年の就任以来、このような調査を何度か実施しているが、その質問は誘導的で右側に大きく傾いており、野党やメディアから「法的拘束力のないアンケートに時間と予算を割くな」と批判を浴びてきた。

しかし、コチシュ氏は国民協議を擁護し、「対ロシア制裁を議論するうえで欠かせない」と指摘した。「メディアはわずか数十人の世論調査で国民の8割が制裁に賛成している、と報じています。この国民協議でハンガリー人がどう思っているか、ハッキリ分かるでしょう...」

またコチシュ氏は国民にこう呼びかけた。「食品や燃料価格の高騰が好きな人は制裁継続に投票してください」

ハンガリー政府はEUの対ロシア制裁に強く反対しており、ロシアより欧州経済へのダメージが大きいと主張している。また政府は隣国ウクライナへの武器供給と、供給基地の提供も拒否してきた。

フィデスの機関紙は21日、オルバン氏の発言を引用し、「対ロシア制裁は廃止すべきであり、そうすればインフレは抑制され、ガス価格は半分以下になるだろう」と報じた。

内陸国のハンガリーは国内で消費する原油と天然ガスの大半をロシアから輸入している。

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