◎ハンガリーは国内で消費する石油の65%、天然ガスの85%をロシアから調達している。
2022年7月13日/ハンガリー、首都ブダペストで行われた抗議デモ(Anna Szilagyi/AP通信)

ハンガリー政府は13日、燃料価格の高騰を受け、エネルギー非常事態を宣言した。

首相府の報道官は記者会見で、「ハンガリーは秋から冬の暖房シーズン中に必要な天然ガスを欧州の同盟国に供給できない」と語った。

また報道官は、「優先すべきは自国のエネルギー安全保障であり、国内のエネルギー生産能力を高め、それを国内需要に回し、ガスの消費量を抑える必要がある」とした。

報道官は、「ロシア・ウクライナ戦争と対ロシア制裁がもたらした燃料価格高騰は危機的レベルに達し、欧州の大部分がエネルギー危機に陥っている」と指摘した。

報道によると、ハンガリーは天然ガスの年間生産量を15億㎥から20億㎥に引き上げ、褐炭の採掘量を増やし、石炭火力発電所を再稼働させ、暖房シーズン中に必要な天然ガスを確保するという。

またエネルギーの輸出は禁止され、ハンガリー唯一の原子力発電所も稼働時間を延長して発電量を増やすとした。この措置は8月に施行される。

オルバン(Viktor Orban)首相は13日に緊急閣議を開き、この問題について協議した。

ハンガリーはロシアの化石燃料に大きく依存しており、昨年ロシア国営ガスプロム社と天然ガスの長期契約を結んだ。同国は国内で消費する石油の65%、ガスの85%をロシアから調達している。

EUは対ロシア制裁の対象に原油を加えたが、海路で輸入されるものに限られている。ハンガリーを含むロシアの化石燃料に依存している内陸国は制裁を免除されている。

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