◎ハンガリーはEUの対ロシア制裁に批判的である。
ハンガリーとセルビア両政府は10日、EUのロシア制裁でロシア産原油の輸入が制限されていることを受け、セルビアにロシア産原油を供給する新たなパイプラインを建設することに合意したと発表した。
セルビアは現在、クロアチア経由でロシア産原油を輸入している。しかし、EUは先週、新たな対ロシア制裁として、EU向けのロシア産原油の価格に上限を設けた。
これにより、EU加盟国のクロアチアからセルビアに輸入される原油の価格は引き上げられることとなった。
ハンガリー政府の報道官は10日、「新たなパイプラインは同盟国のセルビアにより安価なロシア産原油を供給できるだろう」とツイートした。
また報道官は、「セルビアは国内で消費する石油の大半をクロアチア経由で輸入しているが、EUの対ロシア制裁の影響でこれを維持することは困難になるだろう」と指摘した。
ハンガリーはEUの対ロシア制裁に批判的である。オルバン(Viktor Orban)首相は「欧州経済は制裁の影響でひどく傾き、崩壊の危機に瀕している」と指摘し、それを「失敗」と呼んだ。
オルバン氏は6月、ウクライナ侵攻を称賛しているロシア正教会の最高指導者キリル総主教(Patriarch Kirill)に対する制裁に反対し、欧州委員会が提示した最終制裁案を阻止した。
ハンガリーはロシアの石油と天然ガスに大きく依存しており、一連の対ロシア制裁がエネルギー価格を押し上げ、欧州のエネルギー危機を招いたと非難している。
一方、EUと米国は先週、セルビアがロシアと外交政策に関する長期的な協議を約束する協定に署名した後、同国のEU加盟申請に疑問を投げかけている。
ロシア国営ガスプロム社はセルビアの石油会社NISの株式の過半数を保有している。
ハンガリー政府は今月、必要であればセルビアの天然ガス輸入も支援すると表明した。
オルバン氏によると、同国は5~6カ月分の天然ガスを備蓄し、万一の事態に備えているという。