ギリシャ議会、難民申請を3ヶ月間停止する法案可決、移民流入続く
ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。
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ギリシャ議会は11日、アフリカ北部から到着する移民の難民申請を3ヶ月間停止する法案を賛成多数で可決した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と人権保護などを目的とする欧州評議会の人権担当はこの法案を批判していた。
ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は9日、北アフリカから海路で到着する移民の難民申請手続きを3ヶ月間停止すると発表。議会に法案を提出した。
南部クレタ島には先週末から今週初めにかけて、数千人の移民が流入。自治体は中央政府に緊急支援を要請した。
地元メディアによると、クレタ島の移民収容施設は超満員状態となり、500人を超える移民が本土に移送された。
左派政党はこの法案を「人種差別政策」と批判するも、採決の結果、賛成177ー反対74で可決された。
ミツォタキス氏の報道官はSNSへの投稿で法案が可決されたことを歓迎。毎日最大1000人の移民が到着していると述べ、この状況を「侵略」と表現した。
政府は先月、移民の流入を食い止めるため、アフリカ北部・リビア領海近くに2隻のフリゲート艦を派遣すると発表した。
また政府はリビアに対し、ギリシャおよびEUと緊密に連携し、移民がリビアから船で渡航することを阻止するか、リビア領海を出る前に引き返させるよう要請していた。
沿岸警備隊はクレタ島南部の海域で移民船を拿捕し、直接本土に送る取り組みを継続している。
UNHCRはこの法案に深刻な懸念を表明。ギリシャの国境管理権を認めつつも、「国境管理は国際法とEU法に準拠しなければならない」と指摘した。
ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。
その多くがトルコ沿岸からギリシャの島々へボートで横断を試みる。
ギリシャ当局は中東の紛争が移民の急増をまねていると指摘。昨年拘束した移民は6万人を超え、23年比で50%近く増加した。最も多かったのはシリア人であった。
ギリシャ政府はこの海域のパトロールを強化。その結果、多くの人身売買組織がアフリカ北岸からギリシャ南部へ移民を輸送するルートを使うようになった。
クレタ島に到着した移民の多くが中東や北アフリカ出身、バングラデシュ人やパキスタン人も確認されている。
EUの執行機関である欧州委員会の代表団は今週、ギリシャ、イタリア、マルタの政府代表と共にリビアを訪問し、欧州への移民の流出を抑制する措置を講じるよう求めたが、協議は平行線をたどった。